堀込高樹作曲、5の『メニュー』(仮称)。メニュー画面で流れます。
プロ野球を扱うファミスタシリーズのうち、スーファミ向けの最終作となるナンバリング5作目にあたる本作。96年当時のシーズン開幕時のデータを基に、12球団と架空の2球団(ナムコスターズとアメリカンズ)から成る全14球団が収録されている。気軽に試合を楽しめる「1戦勝負」、選手を引き抜いて自分好みの球団を作成できる「夢のFA」、オールスター戦に挑む「オールスター」、過去の年代の球団と対戦できる「OBに挑戦」、好きな球団で優勝を目指す「リーグ戦」、最大4人まで遊べる「マルチプレイ」、選手のデータをいじる「選手エディタ」、作中の設定を変更できる「オプション」の計8つのモードが存在する。特筆すべきはひいきチームを選べる点で、選んだチームの能力が強化されて活躍しやすくなるというゲームバランス面の調整のみならず、タイトル画面の選手のユニフォームが変わる、専用の声援が入るなど、手厚いファンサービスを堪能することができる。好きな選手や球団で遊ぶという野球ゲームの醍醐味を押さえた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは堀込高樹氏。当時ナムコに所属していた作曲家である。ファミスタシリーズには前作に引き続き参加している。本作ではスポーツゲームらしい明るくアップテンポな曲調を中心に、野次などの効果音も含めて実際の球場にいるかのような臨場感のあるサウンドが用意されている。また、ナムコ用の球場では往年のナムコ製のBGMが流れる仕様になっている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とするが、一部楽曲は後年に堀込氏が結成したバンド・キリンジのアルバムでアレンジされている。
メニュー画面で流れるのがこの曲である。メニュー画面には前述の通り、リーグ戦から選手エディタに至るまでよりどりみどりのモードが用意されていて、モード選択後のチーム・球場選択の場面でも曲が流れ続ける。本番を控えた状況下を、イントロからまるでファンファーレのようにインパクトのある音色を鳴らすことで、とても前向きに期待感を煽ってくれる。晴れやかに響くラッパの主旋律を軸に、全体的に明るい雰囲気ながらも独特な落ち着きと安定感のある曲調が特徴である。14秒頃からは即興風の楽しげなフレーズが奏でられ、不思議と心躍るようなスタイリッシュな昂揚感を生む。30秒過ぎではジャズを彷彿させる艶のある音色を取り入れることで、ますます小気味良い印象を与える。1ループ50秒ほどのなかで、何して遊ぼうかな、という素朴なワクワク感を見事に表現した一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。メニューBGMのお手本のような素敵な曲ですね。