VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1254 『GUDIS』(富樫則彦/Ultraman: Towards the Future/SNES)

www.youtube.com

円谷プロダクションとSouth Australian Film Corporationの特撮作品を原作とする、

バンダイがおくる格闘アクション・Ultraman: Towards the Futureより、

富樫則彦作曲、『GUDIS』(仮称)。1面の戦闘で流れます。

1991年に国内のスーファミで発売された「ウルトラマン」の海外版として、円谷プロが海外と共同制作した特撮作品「Ultraman: Towards the Future(邦題:ウルトラマングレート)」の内容にあわせて調整した差し替え移植にあたる本作。プレイヤーはUltramanを操作し、Gudis(ゴーデス)をはじめとする怪獣たちをやっつけることになる。全9面構成で怪獣と一対一で戦う格闘アクションゲームで、大まかなゲーム性は国内版に準じているが、登場する怪獣や各種モーション、ステージ構成、グラフィックなどがグレート仕様に置き換えられている。操作およびアクション面では、パンチやキックといった近接技、光線を用いた必殺技(トドメの一撃は必ずスペシウム光線を当てる必要がある)のほかに、ボタンの組み合わせでアッパーカットやスピンキックなどの攻撃を放つことができる。国内版よりステージ数が減っているなど、やや遊びの幅が狭まっている部分もあるが、グレートに焦点を当てたゲーム化作品としての雰囲気を味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは富樫則彦氏。スタッフロールではNORIRINと表記されている。90年代のバンダイバンプレスト系列の作品をよく手がけていた作曲家である。国内版は氏ではなく和久田貴浩氏が作曲をおこなっていて、海外版では曲が差し替えられている。国内版では原作由来のテーマ曲を用いるなどして雰囲気を盛り上げていたのに対し、海外版では楽曲の作風はそう大きく異ならないが、曲の尺が短めでじりじりと焦慮を誘うような印象が強まっている。作中にミュージックテストは搭載されているが、サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

1面の戦闘で流れるのがこの曲である。対峙する怪獣はGudis(ゴーデス)、物語の発端でもあり中心的な役割を担う重要な邪悪生命体である。脳みそのような頭部にタコのような触腕を持つ醜怪なフォルムが特徴で、この曲と組み合わせることにより、1面からして並々ならぬ切迫感を滲ませる。出だしから速いテンポで規則的に打ち鳴らされるドラムと、重く爛れるように響くラッパの音色を巧みに用いることで、勇ましいと同時に焦りの色も感じられるような印象を与える。特に13秒以降、短く迫力たっぷりに鳴らされるラッパの旋律に合わせて、それまで規則的だったドラムのリズムに変化が生じると、深く腹の底に伝わるような重厚感を生む。一連のラッパのフレーズが終わると、20秒頃から再度パーカッションが速くて緻密なリズムを紡ぐようになり、低音域で抑え込むようにして鳴るベースを伴いながら徐々に勢いづいていく。1ループ27秒のなかで、使命感と身震いの両方を覚えさせてくれる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。進めるとゴーデスの第二形態も登場しますが、そっちも良い焦燥感が漂ってますね。あわせてどうぞ。

www.youtube.com