スクウェアがおくるフリーシナリオRPG・ロマンシングサガより、
伊藤賢治作曲、3の『グレートアーチ』。グレートアーチで流れます。
サガシリーズのうち、スーファミで展開されたロマンシングサガの3作目にあたる本作。300年に一度訪れる、生命が死に絶える災害・死食をめぐり、前々回の生き残りが魔王、前回の生き残りが聖王になり、平和と動乱で揺れる世界を舞台に、八人の主人公が己の人生と世界の命運を賭けた冒険に出ることになる。ロマサガシリーズおなじみの自由な順番で物語を進められるフリーシナリオシステムは健在で、パーティの加入状況やイベントに応じて主人公ごとにエンディング分岐するなど周回プレイの充実度が強化された。大軍を率いて戦闘をおこなうマスコンバット、会社経営を追体験できるトレードなど、奥深さのあるミニゲームが新たに追加されたほか、全体的な難易度は手ごわかった前2作に比べて緩和された。スーファミ末期ならではのつくり込みの深さが楽しめる仕上がりとなっている。後にHDリマスター版がPS4、スイッチ、XboxOne、PC、Vita、スマホアプリ向けに登場した。
本作の音楽を担当するのは伊藤賢治氏。当時スクウェアに所属していた作曲家で、ロマサガはもちろん、サガシリーズ全体に大きく寄与している。本作では各主人公のテーマ曲に加え、複数の戦闘曲や多数のイベント曲など、収録曲の多さが特徴で、ロック調やドラムンベース、コミカルな雰囲気からオリエンタルなテイストのものまで、様々なジャンルの楽曲が揃っている。サウンドトラックは通常盤のほか、リマスター版、映像付きのリバイバル版などが発売されている。
グレートアーチで流れるのがこの曲である。グレートアーチは南国のリゾート地で、海賊が隠したとされる財宝のありかを住人から有償で聞き出すことができるが、必ずしも情報が正しいとは限らない。穏やかだが油断ならない独特な雰囲気を反映してか、明るいはずのトロピカルな音色でほんのり哀愁を漂わせている。はじめはスチールパンを思わせる音色が主旋律を務めるが、20秒過ぎからは管楽器の高らかな調べが響き渡り、耳に馴染むような切なさと癒しを生み出す。陽気でありながら、どこかセンチメンタルな印象をも与える一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。愉快だけど心に染みるような絶妙なバランスの良さが素敵ですね。
