植松伸夫作曲、2の『Save the world』。ラスボス戦の最終段階で流れます。
サガシリーズのうち、ナンバリング2作目にあたる本作。古き神々の遺産たる77個の秘宝を巡り、その強大な力を求めて渦巻く陰謀と戦禍に立ち向かっていくことになる。人間、エスパー、モンスターに加え、本作から新種族としてメカが登場し、パーティ構築や成長システムの幅が広がった。豊富な武器、神を騙る個性的なボスたち、砂漠から大江戸から天界に至るまで何でもありな世界観とが相まって、戦闘もシナリオもシステムも独特な遊び応えを誇る仕上がりとなっている。後にDS向けにかなり原作に忠実な形でリメイクされた。
本作の音楽を担当するのは伊藤賢治氏と植松伸夫氏。リメイクでは編曲と追加曲の両方を伊藤氏が単独で手がけている。ともに当時スクウェアに所属していた作曲家で、伊藤氏は本作が作曲家デビューである。植松氏は前作と本作に、伊藤氏は本作以降ほとんど例外なくシリーズに携わっていて、本作ではサガサウンドの原点ともいうべき楽曲の数々が収録されている。それぞれ均等に半分ずつほど担当していて、ごった煮の世界観を抜群の統一感で表現している。サウンドトラックは本作単体のオリジナル音源のもののほか、前作と次作をあわせたSa・Ga全曲集や、リメイクのアレンジ音源を収録したものも発売されている。
ラストバトルの大詰め、最終兵器のスターバスターが発射されると同時に流れ出すのがこの曲である。本作のラスボスは一定のダメージを負うたびに攻撃パターンが変化し、その都度戦闘曲も切り替わる(汎用ボス戦闘曲『死闘の果てに』→汎用通常戦闘曲『必殺の一撃』)という特殊な仕様となっているが、そのトリを飾るのが、今まで一度も流れたことがないこの専用曲である。うねるようなイントロで威圧感を演出し、低音と高音を隅々まで散りばめることで緊張感を高め、26秒あたりから旋律の追いかけっこが始まると、続くサビが開放感たっぷりに響き渡る。一切の無駄がなく敷き詰められた音色が、まさに今、正真正銘、最後の戦いに挑んでいるという感触を極限まで強め、死闘の果てに繰り出された必殺の一撃を乗り越えて世界を救わんとする覚悟を力強く後押ししてくれる。
この暴力的な疾走感がゲームボーイならではですね。ちなみにこの曲はイトケンさんがゲームボーイ最高峰と大絶賛しているそうでして、その彼が編曲したリメイク版は、現代風の音源に置き換えた正統派なアレンジです。あわせてどうぞ。