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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1465 『DEFEAT F$%KIN' EVILS!』(古代祐三/まもって騎士/X360)

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エインシャントがおくるアクション・まもって騎士より、

古代祐三作曲、『DEFEAT F$%KIN' EVILS!』。ラスボス戦で流れます。

古代祐三氏率いるエインシャントによるXBLA向けのタイトルとして登場した本作。8bit世界のマジカルランドを舞台に、次々と襲いかかるモンスターからローラ姫を守り抜くべく、彼女の親衛隊のまもって騎士たちが戦うことになる。全10面構成のレトロ感あふれるタワーディフェンス系アクションで、固定画面式で中央のバリケード内にいる姫を守りながら敵を殲滅するのが目的である。開始時にパワー特化のファイター、バランス型のアマゾン、スピード重視のニンジャ、遠距離で広範囲攻撃を得意とするメイジ、計4種類の騎士から一人を選んで進めていく。敵を倒すと姫の愛がこもったラブポイントが溜まり、これを使ってキャラを強化したりバリケードを追加で設置したり、緊急回避&範囲攻撃を兼ね備えた強力なラブフラッシュを繰り出したりすることができる。シンプルながらもリプレイ性のある程よいゲームバランスが魅力的で、おまけに随所に80年代風のネタやメタ要素が仕込まれている点が印象深い。適度に忙しく適度に茶目っ気のある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは古代祐三氏。エインシャントの代表であり、本作ではYK-2名義でプロデューサーとコンポーザーを兼任している。本作では8bitのグラフィックにぴったりマッチするファミコン音源の楽曲が収録されている。全体的には明るく勇ましくキャッチーな印象が強いが、特にボス戦を中心になかなか好戦的な雰囲気が漂っていて、メリハリの効いたサウンドを楽しむことができる。サウンドトラックについては、本作単体でデジタル配信されているもののほかに、続編のみんなでまもって騎士とあわせて収録したものが発売されている。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。徐々に音階を上る特徴的なイントロから始まり、3秒からメインメロディーが鳴り出すと独自の渋さとグルーヴを醸しながら突き進んでいく。主旋律を裏で支える三角波の低音ベースが何とも味わい深く、そこにうまくリズミカルなドラムを添えることで、ノリの良さと小気味良さと格好良さを一挙に生み出している。16秒からやや高めの音域でスリリングなメロディーを奏でたり、23秒から似たり寄ったりのフレーズを反復しつつ段階的に音程を上げていったりして、予測不能だけどすっと耳に馴染むような印象を与えてくれる。そうやって1ループ35秒を駆け抜けていくが、その絶妙なコンパクトさがファミコン時代の楽曲らしいオーセンティックなレトロ感を漂わせている。過激な曲名に違わぬラディカルでアグレッシブな一曲である。

音色の鳴らし方と組み合わせ方がすごくしっくり来る感じがして好きです。