VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1004 『Cliff and Cave』(並木学/METAL SLUG 6/AC)

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SNKプレイモアがおくる2Dアクション・メタルスラッグより、

並木学作曲、6の『Cliff and Cave』。MISSION 1の後半で流れます。

緻密なドット絵とシビアなゲームバランス、強力な乗り物が特徴のアクションシューティング・メタルスラッグシリーズのナンバリング6作目にあたる本作。再三にわたるモーデン元帥の野望に神経を尖らせていた参謀本部は、山岳地帯に潜伏するモーデン軍らしき一団を排除すべく、いつもの特殊部隊に傭兵を加えた6人の隊員を任務にあたらせることになる。キャラの追加と性能差の明確化でプレイスタイルの幅が広がった点が特徴で、武器を二つストックできる新要素・ウェポンストックシステムが導入されたことで、基本操作は方向レバー+ボタン5種(新たに武器を切り替えるボタンを追加)となり、複雑さと奥深さが増した。演出面の一新や背景グラフィックの3D化など、アーケード基板が変わったことによる影響も大きいほか、通常の難易度に加えて全5面中4面まで遊べるイージーモードが登場した。従来とは雰囲気やプレイ感がやや異なるが、シリーズの手堅さを感じさせる仕上がりとなっている。後にPS2に単体で、またPS2PSPWiiに他のシリーズ作品とセットで移植された。

本作の音楽を担当するのは金田充弘氏と並木学氏。並木氏は当時、金田氏は現在も音楽性制作会社ベイシスケイプに所属する作曲家である。両名ともシューティングの作曲経験はあるが、SNK製の作品に携わるのは本作が初めてである。前作、前々作と作曲をしてきた田中敬一氏から変わり、並木氏がメインでシンフォニックロック系の新しいメタスラサウンドを生み出している。また、おなじみの過去曲のアレンジも搭載されていて、原曲から大幅に曲調が変わったものもある。サウンドトラックについては、シリーズ楽曲を収録したサウンドボックスに本作の音源が含まれるほか、本作単体でもデジタル配信されている。

最初のミッションの後半、大量の脚が生えた自立走行型の貨物列車が登場するシーンにあわせて流れ出すのがこの曲である。延々と連結された車両が通り過ぎていくシュールな光景が印象的で、通り過ぎた後のシーンでもそのまま曲が流れ続ける。シンセとストリングスと笛が絡み合う爽快なイントロから始まり、パーカッションは重めに響く一方で、全体として非常に清涼感のある独特な音色を紡ぐ。行進曲を彷彿とさせる分厚い管弦楽器の旋律に、浮遊感のある笛やクワイアが重なることで、不思議と聴き心地の良いアンサンブルを生む。特に1分過ぎのサビは笛と弦の伸びやかな高音が響き合い、心がすっと軽くなる清々しさを感じさせる。爽やかさが幾重にも層をなしているかのような一曲である。

無心で聴き浸りたくなる心地良さがありますね。