VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1005 『The Beginning of the End』(新倉浩司/クロックタワー/SFC)

www.youtube.com

ヒューマンがおくるホラーアドベンチャークロックタワーより、

新倉浩司作曲、『The Beginning of the End』。スタッフロールで流れます。

ヒューマンを代表するホラーゲーム・クロックタワーシリーズの第1作にあたる本作。ノルウェーを舞台に、孤児の少女・ジェニファーは、養女として迎え入れてくれると聞いてやってきた屋敷、通称クロックタワーで、不可解な殺人鬼に追い回されることになる。スーファミながらもポイント・アンド・クリック形式に則ったアドベンチャーで、巨大なハサミを振り回す殺人鬼・シザーマンやつつき殺してくるオウムなどの様々な死の恐怖に対し、ごく一部のシーンを除いて特に対抗手段はないので逃げたり隠れたりしながらやり過ごしていく。直接ジェニファーを動かすのではなく、カーソルを合わせて導く操作性を採用することで、独特なじれったさが表現されている点が大きな特徴で、行動に応じてエンディングが分岐するなどの要素も含まれる。蝕むような精神恐怖よりスプラッター的な色合いが強く、ゾクゾクするような不気味さが楽しめる仕上がりとなっている。後にPCやPS、ワンダースワンに移植された。

本作の音楽を担当するのは新倉浩司氏。当時ヒューマンに所属していた作曲家である。本作と同系列の作品群であるシネマティックライブシリーズのうち、セプテントリオンでの作曲経験がある。本作では恐怖を引き立たせるためか無音の間が多く、ここぞというときに楽曲や効果音が鳴る仕組みとなっていて、特に楽曲はメインテーマのアレンジが大半を占める。サウンドトラックについては、発売から20年経ってシリーズ楽曲をまとめて収録したものが登場した。

スタッフロールで流れるのがこの曲である。グロッケンシュピールと思しき音色でメインテーマのフレーズを奏でながら、徐々にオルガンやコーラスなどを交えてじりじりと焦燥感を煽っていく。45秒あたりで主旋律が入った後も、グロッケンの高音は後ろのほうで鳴り続け、その緻密で繊細な響きがメインメロディーの不穏な調べに興を添える。1分35秒ですこし雰囲気が変わり、グロッケンが途絶えて重めのドラムが加わると、今度は低音主体の威圧的な曲調で恐怖心を誘う。曲終盤になって再びイントロに似たフレーズを奏でるも、最後の最後は分厚い重低音で締める。ようやく訪れた終幕を印象付けつつ、最後まで耳に残るような不安感を植え付ける一曲である。

PS版は恐怖よりも神秘が強調されたような、浮世離れした感じです。メインテーマ『Black Melody』、PS版アレンジ、あわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.com