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#499 『スタッフロール』(山本健誌/ファミコン探偵倶楽部 PARTⅡ うしろに立つ少女/FCD)

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任天堂とトーセがおくるミステリーアドベンチャーファミコン探偵倶楽部より、

山本健誌作曲、うしろに立つ少女の『スタッフロール』。スタッフロールで流れます。

ディスクシステム向けのコマンド選択式アドベンチャーとして登場したファミコン探偵倶楽部シリーズのうち、2作目にあたる本作。前作の三年前を舞台に、丑美津高校で起きた殺人事件と、それにまつわる時効寸前の事件の、二つの謎を同時進行で解き明かしていくことになる。学校の怪談という比較的身近なテーマを取り入れつつ、登場人物同士の思惑が絡み合って最終的には意外などんでん返しへと繋がっていくさまは見事で、表現豊かなドット絵による演出の秀逸さも相まって、非常にスリリングかつドラマチックな仕上がりとなっている。後に大幅なリメイクを加えたスーファミ版や、原作に忠実に移植したGBA版、さらには再リメイクしたスイッチ版が発売された。

本作の音楽を担当するのは山本健誌氏。任天堂所属の作曲家で、前作でも音楽監督を務めていたが、本作では作曲もおこなっている。前作では恐怖心を煽るようなおどろおどろしい曲調のものが多かったが、本作ではそうした路線をある程度継承しつつ、よりライトでポップな作風の楽曲も増えた。演出面とあわせて音楽の使いどころが優れていて、場面ごとに推理サスペンスにぴったりな緊張感をもたらしてくれる。サウンドトラックに関しては、任天堂サウンドヒストリーシリーズのディスクシステムレアセレクションに前作や他二作とともに本作の楽曲が収録されている。

スタッフロールで流れるのがこの曲である。事件が一通り解決し、最後の最後で切なすぎる真実が語られた末に流れることになる。オカルトとヒューマンドラマが混ざり合った濃厚なシナリオをそっくりそのまま振り返るかのごとく、どこか焦燥感を煽りつつもメリハリに富んだセンセーショナルな音色が印象的で、黒塗りの背景に白文字でスタッフの名前が綴られるだけの淡泊な映像にふさわしい仕上がりとなっている。なお、この曲が流れ出す直前に、それ以前に流れていた曲を停止し、効果音のみ響く特殊な演出が存在するが、そうした静寂の間を効果的に用いることで、ますます鑑賞し甲斐のあるエンディングをつくり上げている。独特な余韻と感傷に浸らせてくれる一曲である。

スーファミ版(同じく山本さんによるアレンジ)ではすこしテンポを落として音程をあげて、いろいろ新パートも追加して、全体的に歌謡曲っぽい雰囲気になっています。あわせてどうぞ。

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