FACEがおくる変身アクション・サイバークロスより、
神尾憲一作曲、『サイバークロスのテーマ』。オープニングデモで流れます。
特撮ヒーローを題材とした作品としてPCエンジン向けに登場した本作。宇宙から来た悪の科学者・Dr.ノズミー率いるバイオ怪人の軍団に対抗すべく、武装刑事サイバークロスが立ち上がることになる。全6面構成でライフ制の横スクロールアクションで、普段は生身だがパワーユニットを入手すると変身できる点が特徴である。ユニットには色別で3種類あり、変身後に再度ユニットを入手すると色に応じたシールドとウェポンを装着することができる。赤は接近戦向きのサンブレード、緑は投擲武器のムーンブーメラン、青は遠距離に強いスターキャノンを使えるようになり、攻撃ボタンを溜め押しして放つと威力や貫通力などが上昇する。各ステージには制限時間があるほか、スコア稼ぎやボス連戦をはじめとする定番要素が揃っている。特撮らしさを強調するにあたって、オープニングデモが歌詞付きだったり、自機が変身ポーズを決めてくれたり、敵幹部が怪人を差し向けてきたり自ら怪人に変身したり、戦いの舞台が高層ビル街から培養槽の並ぶ秘密基地まで多彩に用意されていたりするなど、いかにもそれらしい演出が充実している。操作感はすこし鈍めで覚え要素が強いため多少のもどかしさはあるが、特撮モノのお約束を押さえた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは神尾憲一氏。主に映画やアニメの劇伴を手がけるフリーランスの作曲家である。ゲーム方面だと90年代頃を中心に活動していたが、そのなかでも本作は初期の担当作品である。本作では前述の通りオープニングデモが歌詞付きで、作中ではオフボーカルであるものの開始早々から特撮らしいムードを存分に味わわせてくれる。全体の曲数はすくないが、明るく潔いものから、悪者っぽさが強く滲む不穏なものまで、一通り場面に沿った楽曲が揃っている。サウンドトラックにはオリジナル音源の他に主題歌のフル尺のボーカルバージョンやカラオケバージョンなども収録されている。
オープニングデモで流れるのがこの曲である。映像と歌詞とともに流れるもので、つくりは簡素だが特撮ならではの熱が十分に感じ取れる。初めて聴いて歌詞を一目見ただけで即座に歌えるほどシンプルでキャッチーな曲に仕上がっていて、まさにヒーローソングの鑑と言える。しばらくは親しみやすい盤石なリズムを刻むが、18秒あたりで高速で音階を下ってノズミーの幹部たちが映ると、メインメロディーの裏で高音がせわしなく響くようになる。そうやって勇ましさとスリルのバランスをうまく釣り合わせて力強い使命感を漂わせていくが、やがて30秒過ぎで主人公が変身すると、サビに突入して一気に勢いを味方につける。ヒーローの名前を呼んで必殺技を叫ぶくだりはとても清々しく、音と歌詞を通じて悪を成敗する爽快感が伝わってくる。胸が熱くなるような一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。ボーカルバージョン（唄は今村竜介さん）は必殺技の叫び方が絶妙で、聴いていて楽しいです。あわせてどうぞ。
