すぎやまこういち作曲、5の『序曲のマーチ』。オープニングなどで流れます。
ドラゴンクエストシリーズのナンバリング5作目にあたる本作。父親と旅する主人公は、やがて少年から青年へと成長し、魔界に行くために天空の勇者を探すことになる。父親と行動する幼年期、冒険の傍らで生涯の伴侶を決める青年期前半、妻子とともに悪を討つ青年期後半の、親子三代にわたる壮大な人生ドラマが特徴である。システム面ではモンスターを仲間にできる要素が初登場したほか、ワンボタンで簡単に会話したり調べたりできるようになり、操作の利便性が向上した。また、ハードの移行に伴うグラフィックの変化、隠しダンジョンをはじめとするやり込み要素の追加など、意欲的な新要素が含まれている。人生を追体験するようなシナリオ重視の作風で魅せる仕上がりとなっている。後にPS2やDS向けにリメイクされたほか、スマホにも移植された。
本作の音楽を担当するのは故・すぎやまこういち氏。おなじみドラクエシリーズのサウンドの生みの親である。本作ではファミコンで展開していた前作までとは変わり、スーファミの進化した音源が使えるようになったことで、サウンドの表現力が増し、全体的に曲尺が伸びた。リメイク版ではNHK交響楽団の生演奏によるオーケストラが使用されていて、格式の高い楽曲群に聴き浸ることができる。サウンドトラックは各種交響組曲版が存在するほか、スーファミのシリーズの楽曲をまとめた音楽大全集に本作の音源が含まれる。
毎度おなじみ、オープニングで流れるシリーズの代表曲『序曲』のうち、本作用のアレンジがこの曲である。オープニング以外にも本作では即位イベントやエンディングの前座で流れる。開始早々、管楽器の分厚い音色によって壮麗さを印象付けると、3秒頃から弦楽器の華やかな調べが、20秒頃から笛の陽気な高音が加わり、胸がすくような瑞々しい昂揚感を生む。いつもながら耳に馴染む主旋律に、低音でしっかりと支える心強い伴奏が寄り添うことで、とても聴きやすい上品なオーケストラサウンドに仕上がっている。優雅で勇壮で雄大な魅力に満ちた一曲である。
歴代（I～XI、リメイク音源含む）の序曲まとめもどうぞ。
