すぎやまこういち作曲、4(DS版)の『楽しいカジノ』。
カジノおよびエッグラ&チキーラ戦で流れます。
ドラゴンクエストシリーズのナンバリング4作目のリメイク(一度PS向けにリメイクされたものを、DS向けに再移植したもの)にあたる本作。原作譲りのオムニバス形式の物語や、PS版で追加・調整された新エピソードやシステム面はそのままに、携帯機ならではの特性を活かしたダブルスクリーンでの画面表示やボタン操作に対応するようになり、その場で気軽にセーブできる中断の書も導入された。寄り道要素としてPS版同様に移民希望者を集めて町づくりできる移民の町(ただし内容は簡略化され、ランダム要素がなくなった)が存在し、すれ違い通信により他のプレイヤーとキャラを交換し合うことができる。総じて手堅く移植された仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはすぎやまこういち氏。ドラクエシリーズおなじみの作曲家で、オリジナル版もPS版も本作もすべて単独で作編曲している。PS版ではオーケストラ音源に基づくものを搭載していたが、本作では携帯機という制約上、オーケストラを採用しているのは『序曲』のみで、残りは内蔵音源でまかなっている。サウンドトラックはオリジナル版やPS版、交響組曲版などが存在するが、DS音源を収録したものは見当たらない。
エンドール王国および移民の町のカジノで流れるのがこの曲である。例外的な使用例として、PS版以降で登場した隠しボスとして、卵か鶏かどっちが偉いかを口論している謎の二人組・エッグラ&チキーラとの戦闘でも流れるが、戦闘曲らしい威圧感とは無縁の、底抜けに陽気な曲調となっている。ファミコン版の原曲やPS版と比べると心なしかテンポが遅め(テンポは僅差で原曲>PS版>DS版)で、トランペットとクラリネットが紡ぐ賑やかなアンサンブルが、遊びの気分を楽しく盛り上げてくれる。楽器構成はほぼPS版と同一だが、やや丸みを帯びた上品な印象を与えるPS音源と比較して、DS版は一つ一つの音がくっきりと発音されることから、活気に満ちた派手な印象を与えてくれる。カジノのシーンならまだしも、戦闘シーンとしては異例の選曲だが、エッグラとチキーラのおどけた雰囲気(と、博打にはつきものの、予想を軽々と裏切る強さ)にもマッチしている変幻自在な一曲である。
記事番号が大当たりしそうなゾロ目なので、なんとなくそれっぽい曲を紹介してみました。一日遅れですが、ちょうどドラクエの周年記念でもありますし。DS音源の華やかだけど、良い意味ですこしチープな音色が、他の音源よりもいっそうカジノらしさをうまく表現している気がします。原曲とPS版もあわせてどうぞ。