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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#776 『MOONY』(寺田創一/FANTAVISION/PS2)

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SCEがおくるパズルゲーム・ファンタビジョンより、

寺田創一作曲、『MOONY』。STAGE 5と6で流れます。上記動画の7:30から10:41まで。

SCE謹製の作品として、PS2のローンチ直後に発売された本作。打ち上げ花火をテーマにしたパズルゲームで、地上から次々と打ち上げられる花火を、マーカーを操作して同じ色の玉を3つ以上集めて(キャッチ)爆発させる(フラッシュ)させるのが基本的なルールである。夜の都会や宇宙空間、月面など、美麗なグラフィックで彩られた様々なステージが登場するのが特徴で、ときには花火が大量発生するスターマインモードを駆使しながら、効率的に花火をキャッチしてフラッシュの連鎖(チェイン)を引き起こし、高得点を狙っていく。花火の美しさとパズルの面白さを両立した仕上がりとなっている。後に対戦プレイに対応したふたりのFANTAVISIONが登場した。

本作の音楽を担当するのは寺田創一氏。日本におけるハウスミュージックのパイオニアで、ゲーム音楽については同じくSCE製のサルゲッチュシリーズに携わっていることで馴染み深い。本作ではその幻想的な作風にあわせて、ラウンジやハウス系の爽やかな楽曲が揃っている。ちなみに北米版・欧州版ともに全曲差し替えられていて、北米版はアメリカ出身の作曲家・Ashif Hakik氏によるニューエイジミュージックが、欧州版ではイギリス出身の作曲家・Jim Croft氏によるダンスミュージックがそれぞれ充てられている。サウンドトラックは日本版のみ発売されている。

月を舞台にしたSTAGE 5「MOON CITY」とSTAGE 6「SNOW ON THE MOON」で流れるのがこの曲である。煌びやかな高音のイントロから始まり、穏やかで優しいピアノの音色が周期的に響くことで、月面の神秘的な景色にぴったりなミステリアスでファンタジックな雰囲気を醸し出す。月が地球よりも重力が小さいことを表現するための工夫か、全編を通して独特な浮遊感に満ちていて、似たフレーズの繰り返しで構成されているため、サビらしいサビは訪れないが、かえって非常に気持ち良い安寧を生み出している。聴き入れば聴き入るほど、夢見心地にさせてくれる一曲である。

音源を探している際に、海外版ではまったくの別曲が用意されていると知って驚きましたが、聴き比べてみるとどれもなかなか素敵です。北米版はステージ5と6で違う曲、欧州版は共通の曲となっています。北米版5、北米版6、欧州版5・6の順で、三つともあわせてどうぞ。

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