VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1075 『誰がために“金”は鳴る』(鋒山亘/SOUL SACRIFICE DELTA/PSV)

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SCEがおくるアクション・ソウルサクリファイスより、

鋒山亘作曲、デルタの『誰がために“金”は鳴る』。万屋で流れます。

ロックマンシリーズや鬼武者シリーズで知られる稲船敬二氏率いるcomcept、マーベラスSCEジャパンスタジオが共同で制作するダークファンタジー調の共闘アクション(狩りゲー)として登場したソウルサクリファイスのリニューアル版にあたる本作。邪悪な魔法使いに捕まって牢獄に囚われた主人公は、喋る魔導書・リブロムと出会い、魔導書に記されたある魔法使いの日記を読んで物語を追体験することで運命に抗うことになる。無印版の内容を踏襲しつつ、シナリオを追加し、グラフィックを強化し、魔物も魔法も増加するなど、広範にわたってブラッシュアップされている。自らクエストを作成してソロはもちろんマルチでも挑戦できる新システム・白紙ページや、噂や供物などを取引できる新拠点・万屋など、ストーリーやアクション以外の部分でも新要素が充実している。盛りだくさんのボリュームを堪能できる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは鋒山亘氏と光田康典氏。鋒山氏は主にハリウッド映画の劇伴作曲を手がける作曲家で、ゲーム音楽方面では稲船氏が関わったバイオハザード5などでの作曲経験がある。光田氏は音楽制作会社プロキオン・スタジオの代表である。いずれも無印版から引き続き作曲していて、グロテスクだけど魅惑的なファンタジーの世界観に見合った悲壮感あふれるオーケストラサウンドが揃っている。サウンドトラックについては、無印版の楽曲を収録したものが存在するほか、本作の追加曲を収録したものが予約特典として付属されている。

万屋で流れるのがこの曲である。金の亡者である怪商ボーマンとその兄弟が経営していて、衣装や噂(魔物の狂暴化など、内容に応じてその効果が反映される)などを取引できる。胡散臭いけれど役に立つ万屋の独特な雰囲気を彩るにあたって、ゆったり優雅なクラシカルなアンサンブルを紡ぐ。軽やかなピアノの旋律に、落ち着いた気品を漂わせるハープシコードの伴奏、時折不穏な高音を響かせるストリングスが絡み合うことで、妖しくも居心地の良い空気感を醸し出す。つい長居したくなるような不思議な没入感に満ちた一曲である。

2曲まとめていただいたリクエストの第2弾です。作中の雰囲気にとても合ってますね。