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#699 『霧の荒野』(大島ミチル/レガイア伝説/PS)

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SCEがおくるフルタイムドラマチックRPGレガイア伝説より、

大島ミチル作曲・山崎耕一編曲、『霧の荒野』。フィールドマップで流れます。

「この霧を晴らすのは、僕たち」というキャッチコピーで知られる本作。太古から人間と獣が共存してきた世界で、戦争のために人為的に発生させられた霧が原因で獣たちが凶暴化、人の手に負えなくなった獣たちの暴走により次々と文明が崩壊していくなか、少年・ヴァンは聖獣との出会いを通じて霧を晴らすために旅立つことになる。タクティカル・アーツ・システムと呼ばれる戦闘システムにより、コマンド入力の組み合わせで自分好みの攻撃方法を発案することができ、格闘ゲーム的な操作感と新アーツを発見するパズル的な要素が入り混じっている。幻想的ながらも王道な冒険譚と言える仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大島ミチル氏。編曲(およびサウンドプログラミング、サウンドディレクション)で山崎耕一氏も携わっている。大島氏は映画やドラマの劇伴などで活躍する作曲家で、対する山崎氏は当時SCEに所属していた作曲家である。本作では霧に閉ざされた退廃的な世界観にあわせて、ミステリアスな民族音楽調のサウンドが多く揃っていて、いずれの楽曲も没入感たっぷりに旅路を彩ってくれる。サウンドトラックは全40曲収録されている。

村落や洞窟などを繋ぐフィールドマップで流れるのがこの曲である。いたるところに薄靄が立ち込める、どことなく寂寥感あふれる情景に寄り添うかのごとく、その旋律は儚くも美しく、とても切ない。透き通るような笛の音が、荘厳に響き渡るコーラスと相まって、神秘的な恍惚と陶酔をもたらしてくれる。静かにゆったりと盛り上がっていくさまは、この霧を晴らす決意をいっそう強固なものにしてくれるような魔術的な精彩に富んでいる。決して派手ではないが、情緒豊かな神気に満ちた一曲である。

霧が晴れると一気に明るく勇ましい曲に変わって、この曲が聴けなくなるのは寂しいですが、力強い達成感があるんですよね。『よろこびの大地』、あわせてどうぞ。

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