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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#775 『Abyss Watchers』(北村友香/DARK SOULS III/PS4・XOne)

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フロムがおくるアクションRPG・ダークソウルより、

北村友香作曲、3の『Abyss Watchers』。深淵の監視者戦で流れます。

Demon's Soulsの系譜を継ぐダークソウルシリーズのうち、ナンバリング3作目として登場した本作。世界の根源たるはじまりの火が陰り、荒廃の一途を辿る王国・ロスリックを舞台に、火を宿した薪の王を玉座に連れ戻すべく、一人の不死人が旅立つことになる。陰鬱なダークファンタジーの世界観はそのままに、新たに戦技と呼ばれる武器固有の特殊なアクションが追加されたことで、より戦略的かつ戦術的な立ち回りができるようになった。シームレスで繋がる広大なフィールド、他のプレイヤーの行動や死に際を再生できるシリーズおなじみの非同期オンライン要素、核心に迫る濃密なシナリオなど、三部作の集大成にふさわしい充実した仕上がりとなっている。後に未知の冒険を描くDLCが二つ配信され、PCにも移植された。

本作の音楽を担当するのは北村友香氏、齋藤司氏、桜庭統氏、鈴木伸嘉氏の四名。桜庭氏はフリーランスで、北村氏は当時、齋藤氏は現在もフロムに所属している作曲家で、鈴木氏は退社済みだが在籍経験がある。シリーズの作曲経験については、桜庭氏は初代から、北村氏は2からの参加で、残りは初参戦(ただしシリーズと関わりが深いBloodborneには携わっている)となっている。なかでも北村氏の担当分が大半で、氏が得意とする弦楽器、曰く「従来の楽器のチューニングではない音程で弦を張り弾くことで豊かな響きではない、枯れたような、少しさびしい音」をふんだんに用いたオーケストラサウンドが揃っている。また、戦闘の状況に応じてインタラクティブに曲調が変化する仕掛けも存在する。サウンドトラックは予約特典として同梱されていたほか、DLCを完全収録したオールインワンバージョン(THE FIRE FADES EDITION)の特典として、DLCの追加曲も含めて収録されている。

深淵の監視者とは玉座から逃げ出した薪の王の一軍で、またの名をファランの不死隊と言うが、そのボス戦で流れるのがこの曲である。不死隊と呼ばれていること、曲名が複数形になっていることからも窺える通り、戦闘開始直後は一人でも、徐々に相対する人数が増えることになるが、彼らは徒党を組んで襲ってくるのではなく、互いに競い合って同士討ちをするという異様な戦いぶりを見せる。その凄惨な光景を表現するにあたって、ラテン語によるクワイアとストリングスを組み合わせた優雅なアンサンブルが奏でられ、透き通るような女声コーラスが悲壮的なムードを、沈み込むような男声コーラスが勇壮的なムードを醸し出す。奈落の底へと誘うような狂気的な没入感を誇る一曲である。

すごく悲劇的でカタストロフィックな響きに満ちていて、ゆったりとした曲調のはずなのに、ボスの強さも相まって、まったく余裕がない張り詰めた緊迫感が見事に表現されていますね。