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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#774 『SONIC PRICES』(AKIKO HIDA・KAZUHISA KAMIFUJI・HIROKO OGIHARA/エアロゲイジ/N64)

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LOCOMOTIVEがおくるレースゲーム・エアロゲイジより、

AKIKO HIDA・KAZUHISA KAMIFUJI・HIROKO OGIHARA作曲、『SONIC PRICES』。

マシンセレクトで流れます。

64向けのSFレースゲームとして登場した本作。2065年のアジア各地を舞台に、空中滑走が可能なエアロマシンを駆って、立体サーキットで繰り広げられるグランプリを戦い抜くことになる。左右はもちろん、上下も含めた縦横無尽の空中操作が肝で、高度に応じて最高速度が変化するほか、ドリフトダッシュ(降下・上昇にも有効)で一気に急加速できる。マシンは初期5台、隠し解禁後は合計10台用意されていて、それぞれ機動力や発熱量、耐久性などが細かく設定されているため、マシンの性能に見合ったライン取りが必要となる。コースは6つと限られているが、アジアンテイストの独創的なグラフィックに、高低差や障害物といったギミックが豊富に取り揃えられている。複雑で難解な操作性と、コクのあるテクニカルなゲーム性とが相まって、斬新なセンスが光る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはAKIKO HIDA氏、KAZUHISA KAMIFUJI氏、HIROKO OGIHARA氏の三名。このうちOGIHARA氏はサウンドエフェクトも手がけている。漢字表記が不明だが、いずれも時期を前後して他のLOCOMOTIVE製の作品に携わっていることから、おそらくLOCOMOTIVEに所属していた作曲家たちと思われる。本作ではサイバーパンクなレースゲームにふさわしく、ハイスピードで奏でられるロックやメタル系の楽曲が多く揃っていて、近未来のアジアという世界観を活かした、サイバーパンクな和風・中華風サウンドも楽しめる。サウンドトラックは未発売だが、作中に楽曲を自由に再生できるサウンドコンソールが搭載されていて、曲名も明かされている。

マシンセレクトで流れるのがこの曲である。レースが始まる前の下準備として個性豊かなマシンを見比べながら戦略を練るシチュエーションを、エレキギターによるハイテンションなロックナンバーが大胆に彩ってくれる。猛々しく響くヘヴィな低音に、清々しく響くライトな高音が重なり合うことで、荒々しくも洗練された豪快なヴァイブを生み出し、レース開始前にも関わらず本番さながらの力強い昂揚感をもたらす。1ループ40秒弱という短さだが、有り余るほどの情熱が詰め込まれた一曲である。

選択画面から最高潮にかっ飛ばしてくれますね。レース曲はどれも痺れますが、個人的に特に好きなのはこれとエンディング曲の『AFTER THE AERO』で、そちらはしっとりとしたピアノの音色が、ギターの激しくも切ない旋律とブレンドして、得も言われぬ陶酔感を醸し出しています。せっかくなのであわせてお聴きください。

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