石田尚人・田島賢・古川光照作曲、FOR GBAの『BIANCA CITY』(仮称)。
同名のコースで流れます。
ゲームボーイアドバンスのローンチタイトルとして、F-ZEROシリーズの3作目に登場した本作。キャプテン・ファルコンの世代から4半世紀後の未来を舞台に、一獲千金を狙って宇宙を股にかける超高速のレースが繰り広げられる。馴染みの地名や車種は時代の流れを反映して一新され、初期状態で4台、解禁後は全10台のマシンを駆りながら、3つのグランプリ(一定の難易度で全制覇すればさらにもう1種類追加される)で頂点を目指すことになる。総じてスーファミ版初代のゲーム性を忠実に受け継いでいるが、そのうえさらにGBAならではの新要素として通信ケーブルで最大4人まで対戦することもできるなど、携帯機の特性を活かした仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは石田尚人氏、田島賢氏、古川光照氏の三名。このうち石田氏と田島氏は当時任天堂に所属していた作曲家で、古川氏は本作以外ではもっぱらサウンドプログラムやサウンドライブラリ系の役職に就くことが多い(実際、本作でも効果音は古川氏が単独で手がけている)。本作の楽曲はシリーズおなじみの熱いロックサウンドが中心で、臨場感たっぷりに苛酷なレースを彩ってくれる。サウンドトラックは発売されていないため、曲名は便宜上の仮称とする。
かつて宇宙の中心であったMUTE CITYに代わる新たな大都市として発展したBIANCA CITYでのレースで流れるのがこの曲である。3つのサーキットがあり、うち2つはグランプリシリーズの最初のコースにあてられることから、おそらくゲーム開始後真っ先に聴くことになるのがこの曲だが、そうした期待を裏切らないスピーディーでエキサイティングな音使いが印象的である。荒々しく先鋭的なエレキギターの旋律は、高音で轟き渡るアルペジオと相まって、突き抜けるような疾走感を生み出している。宇宙の栄華を極める新興都市の雰囲気を凝縮した一曲である。
レースゲームのBGMってエンジン音のありなしで結構差がありますよね。あってもなくても格好良さを保てる、というのは月並みですがすごいことですね。