Boss Game Studiosがおくるレースゲーム・トップギアラリーより、
Barry Leitch作曲、『Jungle』(仮称)。同名のコースで流れます。
スーファミのレースゲーム・Top Gear(日本国内ではトップラリー)シリーズの系譜を継ぐ64向けの新作として登場した本作。好きな車を選んで6シーズンに及ぶチャンピオンシップに挑むことになる。初期状態で9種のマシンが用意されていて、車のセレクトのみならずハンドルやタイヤも選択できる。コースは隠し解禁を含めて5つあり、晴天はもちろん、雨天や雪などの天候も存在する。リアル志向のグラフィックと滑らかな挙動が特徴で、周辺機器の振動パックを接続すれば振動を感じることもできるなど、車を運転する感覚がシミュレートされている。華やかさはないが堅実な仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはBarry Leitch氏。スコットランド出身の作曲家で、ゲーム音楽にはSpectrumやコモドール64時代から関わっているベテランである。トップギアシリーズには初代にて増野宏之氏(当時、発売元のケムコに所属していたプログラマー兼作曲家)と共同で作曲した後、2作続けて不参加、本作で単独復帰を果たした。ニンテンドウ64でありながら8ビットサンプルを取り入れたレトロチックな音源を使用していて、レースゲームにしてはやや重めなチューンが多いが、硬派な雰囲気に見合った本格的なエレクトロやインダストリアル系のサウンドが堪能できる。また、北米版と日本版で一部楽曲が異なる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
Jungleのコースで流れるのがこの曲である。鬱蒼と生い茂るとまではいかないが、木々と沼地以外にはほとんど何もない殺風景なコースで、途中には連続してくねくねと蛇行するカーブ地帯が待ち受ける。リズム重視のソリッドな楽曲が多いなかで、この曲は一転、80年代風とも言えるメロディアスなシンセポップに仕上がっている。絶えず激しく鳴り響く伴奏に、哀愁を誘う旋律が絡み合い、視覚上はあまり代わり映えしないコースを、聴覚において変幻自在に彩る。2分8秒で一旦ループに入ったかのように見せかけて、しばらく聴き覚えのあるフレーズを紡ぐと、3分手前で高音が荒れ狂う新パートが追加され、徐々に音量を下げてメロディーラインに溶け込ませた後、3分37秒でループに到達する。非常に鮮やかな印象を与える一曲である。
Jungleといえば以前フロントミッションのあれを紹介しました。この曲は毛色が違いますが、ああいう無機質な感じのも本作には完備されていて、CoastlineとかMoutainあたりがおすすめです。あわせてどうぞ。