スクウェアがおくるシミュレーション・フロントミッションより、
リョウアライ作曲、オルタナティヴの『Jungle』。ミッション1~3で流れます。
人型機動兵器ヴァンツァーを駆って戦場を生き抜くフロントミッションシリーズのうち、ナンバリングとは異なる派生作品として登場した本作。ジャンルはシリーズ唯一のリアルタイムシミュレーションRPGで、シリーズ中の時系列のなかでも最も古い2030年代のアフリカ紛争を舞台に、ヴァンツァーの前身となる戦闘用ヴァンダーヴァーゲン(WAW)の実戦投入の様子が描かれる。3小隊、最大9機のWAWを指揮し、与えられたミッションをこなしていくことになるが、ミッションの進捗状況によって大きくシナリオが分岐するなど、実験的な手法を取り入れている点が特徴である。WAWのカスタマイズは、旧世代機ゆえにヴァンツァーとは勝手が異なるなど、総合的にみてかなり尖ったストイックな仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはリョウアライ氏。本邦におけるブレイクビーツの先駆者とされるミュージシャンで、ゲームを一本丸ごと単独で作曲するのは本作が初めてである。本作の音楽の方向性については、特にあれこれと指示されることなく氏に一任されていたらしく、全編にわたって氏の得意とするトランスやテクノ系のサウンドが揃っている。サウンドトラックはCD1枚分におさまる範囲だけが収録されているため、未収録のものもすくなくないが、収録されている楽曲に関してはいずれもゲームに落とし込む前の高音質の状態で録音されている。
「KISANGANI」「BUMBA」「GEMENA」といった序盤の3ミッションで流れるのがこの曲である。出だしはパーカッションのみ、そこから徐々にいろんなトラックが加わっていき、焦らしに焦らして1分半ほどでようやく音の高低を伴うメロディーらしいメロディーが挿入される。といってダイナミックに曲調が変化するわけではなく、そこからも変わらずミニマルテクノ的なフレーズの繰り返しが展開し、堅牢で硬派なアンビアンスを保ち続ける。徹底的に無機質な雰囲気で紛争の実情を淡々と表現した一曲である。
ミッションの舞台はいずれも森林地帯ですが、この曲に関して言えば、密林よりも音楽ジャンルとしてのジャングルのほうがイメージ的に近い気がしますね。いつか全曲収録したサントラが出ないものかと期待しているのですが、いつになるでしょう。