VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1263 『Good Ending』(J.K/新世紀GPXサイバーフォーミュラ/SFC)

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サンライズモータースポーツアニメを原作とする、

タカラがおくるレースゲーム・新世紀GPXサイバーフォーミュラより、

J.K作曲、『Good Ending』(仮称)。グッドエンディングで流れます。

F1を凌ぐスピードとAIによるナビ機能を搭載した近未来のモータースポーツサイバーフォーミュラを題材とする同名のアニメのゲーム化第2弾にあたる本作。システム開発者を父に持つ少年・風見ハヤトは、成り行きで父が開発した新マシン・アスラーダにドライバー登録されたことをきっかけに、過酷なグランプリに挑むことになる。2Dの見下ろし型のレースゲームで、物語に沿って進めるシナリオモード、練習用のフリーモード、8台のマシンから自由に選んで大会制覇を目指すGPXモードが収録されている。シナリオモードでは地方予選の富士岡クオリファイから世界大会の最終戦まで、レース間のデモ等も交えて原作の流れを再現している。レースでは、通常のアクセルやブレーキに加え、原作でもおなじみのブースト(ゲージ消費で加速)やモードチェンジ(変形)といった操作も存在する。近未来かつハイスピードな競技である設定を受けてかスクロール速度が速めで、全体的に粗削りながらも爆走する雰囲気が味わえる。アニメ原作らしい要素を備えた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはJ.K氏。作中で確認できるスタッフロールでは、サウンド担当者以外にも頭文字やあだ名を用いているスタッフが多く、あまり具体的な素性は判然としない。開発元がアークシステムワークスという情報を基に、当時アークに所属していた小酒井順哉氏が作曲したとみられるようである。本作ではレースゲームにふさわしい明るく快いサウンドが揃っていて、パーカッションをしっかりと利かせることで聴き応えのある印象を生み出している。また、楽曲のなかにはアニメ版のエンディングのインストアレンジが含まれる。サウンドトラックについては、スーパーファミコンマガジンVol.3の付録CDに2曲のみ収録されていた模様だが、基本的には未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

全レースをクリアしてチャンピオンになった暁にみられるグッドエンディングで流れるのがこの曲である。はじめは管楽器を用いてやや低音寄りで、表彰式の幕開けを予感させるような豊かな旋律を奏でる。2~4秒、6~8秒などで上昇音階と下降音階を組み合わせて期待感を高めていき、14秒頃からメインメロディーに呼応するかのようにドラムがパワフルに打ち鳴らされると、以降ぐぐっと勢いづく。20秒から一気に胸がすくほど晴れやかなメロディーを奏でることで、ようやく勝利の実感が湧いてきたような、これまでの努力が実を結んだことへの歓びを嚙み締められるようになる。ずっと明るい調子が続くなかでも、30秒からは裏メロにパッヘルベルのカノンの一節を思わせるようなフレーズを組み込んで活き活きと盛り上げ、40秒頃からはすこし音域や音色選びを変えてメリハリをつけ、1分手前には勇ましい高音が目立つようになり、曲の最後にはテンポを落として綺麗に締めるなど、飽きさせない工夫が凝らされている。聴いていると誇らしい気持ちになれる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。曲を通じて報われる感じがするというか、達成感が身に染みますね。