阪東太郎作曲、Xの『駆け上がれ!そして勝利をつかめ!』。
英名は『CLIMB UP! AND GET THE LAST CHANCE!』で、
WHITE LANDとBIG HANDのコースで流れます。
スーファミのローンチタイトルにして切り込み隊長でもあるF-ZEROの7年ぶりの続編として登場した本作。前作からレギュレーションが大幅に改定され、音速をはるかに超えた圧倒的なスピード感が実現するに至った。ハードの進化に伴い、コースはすべて3Dで表現されていて、マシン数の増加や相手のマシンを破壊する新システムの導入により、ますます過激なレースが楽しめるようになった。難易度はNOVICE、STANDARD、EXPERTの三種類に加え、一定条件を満たすことで最高難度MASTERも解放され、総じて非常に歯応えのある仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは阪東太郎氏と若井淑氏。両名とも任天堂に所属する作曲家で、F-ZEROシリーズの作曲を務めるのは本作限りである(F-ZEROシリーズではほぼ毎回作曲陣が一新されている)。このうち本作の大半の楽曲を書き下ろしている阪東氏は、作曲よりも効果音の制作やサウンドプログラムを手がけることが多いことから、本作は作曲の立場で参加している数少ない代表作であると言える。全編にわたって血湧き肉躍るHR/HM系の激しいサウンドが揃っていて、前作の人気曲をアレンジしたものも完備されている。サウンドトラックはオリジナル音源のもののほかに、生演奏のギターを用いたアレンジ盤も発売されている。
前作でもおなじみの寒冷地・WHITE LANDおよび巨大な手の形をした難所・BIG HANDで流れるのがこの曲である。いずれもコースアウトの危険性が高く、小さなミスが命取りとなり兼ねないステージであるが、そうしたストイックさを象徴するかのごとく、この曲はエレキギターとオルガンによる硬派なロックナンバーに仕上がっている。轟音をかき鳴らしてバリバリな爽快感を醸しつつ、うねるような泣きメロを奏でて物憂げな雰囲気をもつくりだしていて、その両方が綺麗に溶け合うことで、油断大敵な熾烈なレースを否応なく盛り上げてくれる。曲名にふさわしい力強さを持つ一曲である。
ギターアレンジでは新パートを追加したり、全体的にダウナー感を強調したりしてドゥームメタル的な感じになっています。アレンジャーは勝又隆一さんです。あわせてどうぞ。