植松伸夫作曲・岩佐樹編曲、『強敵との戦い』。
ロードオブデスなど、各地の強敵戦で流れます。
レベルファイブの新作RPGとして、ブラウニーブラウンとハ・ン・ドが開発を手がけた本作。ライフと呼ばれる職業を選んで人々が自由気ままに暮らす世界・ファンタジールを舞台に、初めてのライフに就いた主人公は、突如落ちてきた謎の隕石・ドクロ石をめぐり、次から次へと各地の事件に巻き込まれていく。王国兵士や魔法使いといった王道のものから、釣り人、料理人、裁縫師など、変わり種も含めて12個のライフが用意されていて、ライフに応じて取れる行動が異なる。メインクエストを追って世界を救うもよし、そっちのけでのんびりサブイベントに没頭するもよし、さらにはすれ違い通信で疑似的なオンラインプレイもできるなど、自分好みにスローライフを楽しめる仕上がりとなっている。後に本格的なマルチプレイモードを搭載したバージョンアップ版・LINK!が発売された。
本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏。編曲およびシンセプログラミングの担当でACE(CHiCO氏・工藤ともり氏)、岩佐樹氏、岡宮道生氏、成田勤氏も参加している。岩佐氏を除き、いずれも植松氏率いるロックバンド・EARTHBOUND PAPASのメンバーないしは関係者である。本作ではほのぼのとしたファンタジーの世界観に見合った、長閑で朗らかなサウンドが多く揃っていて、特にライフを極めることでマスターランクに達すると、それぞれのライフごとに特殊なボーカル曲(計12曲)が流れるなど、なかなかの充実ぶりを誇る。サウンドトラックはインストゥルメンタルのものを中心に収録したオリジナル版と、ボーカル曲を収録したテーマソングコレクションが発売されている。
砂漠の強敵・ロードオブデスや、王国兵士の試練で対峙する先代イネムリドラゴンとの戦闘、あるいは非戦闘時でも幻の魚・ゴールデンカジキを釣り上げる際などで流れるのがこの曲である。イントロから全力全開の荘厳なコーラスとオルガンを響かせることで、牧歌的な曲調の楽曲が大半を占める本作のなかで明らかに異質な雰囲気を漂わせていて、一瞬にして聴く者を真剣勝負の場へと引き込む。バイオリンにトランペット、オーケストラの花形楽器が一丸となって紡ぐ優美なアンサンブルは、重苦しいほど威圧的でありながら、非常に勇ましく美しいエネルギーに満ちていて、大いに闘争心を駆り立ててくれる。ストレートな曲名と相まって、どこまでも力強く気分を盛り上げる一曲である。
曲単体としてみても素敵ですが、他の楽曲と比べると温度差が歴然で、そういう兼ね合いがあってこそ、よりいっそう映えるような気がします。