VGM格納庫

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#1108 『ヘッドレス』(Falcom Sound Team jdk/ブランディッシュ/PC98)

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日本ファルコムがおくるリアルタイムアクションRPGブランディッシュより、

Falcom Sound Team jdk(石川三恵子・白川篤史)作曲、『ヘッドレス』。

ヘッドレス戦で流れます。

ファルコム初のフルマウスオペレーション対応作品として登場した本作。賞金稼ぎであり自身も賞金首である剣士・アレスは、彼をつけ狙う女魔道士・ドーラの攻撃で空いた大穴に呑み込まれて地底に落ちてしまい、そこから脱出を目指すことになる。見下ろし視点でキャラが常に上を向く(向きを変えるとマップが回転する)形式のダンジョン探索型のアクションRPGで、移動をはじめとするアクションがすべてマウスでおこなえるという当時としては珍しかった操作方法が特徴である。ダンジョンでは敵がリアルタイムで行動するのに加え、道中は罠や謎解きが満載で、キャラを特定の向きにしないと発見できない仕掛けなども盛り込まれている。全体的に硬派なつくりだが、グラフィック面の鮮やかさや女魔導士とのコミカルなやりとりといったキャッチーな要素も含まれる。適度な緊張感と歯応えのある仕上がりとなっている。後にスーファミFM TOWNSPCエンジンなどに移植されたほか、PSP向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのはFalcom Sound Team jdkの面々。具体的な内訳は石川三恵子氏と白川篤史氏である。白川氏は当時、石川氏は現在もファルコムに所属する作曲家である。いずれも本作以降のブランディッシュシリーズでも参加し続けることになる。本作では地下迷宮を彩る幻想的な曲からアップテンポな戦闘曲まで場面ごとに良質な楽曲が揃っている。各ボスに専用曲があてがわれていることなどから、曲数も充実している。サウンドトラックは他作品とまとめて収録したスペシャルBOX版のほか、音源違いのFM TOWNS版、PSPのアレンジ版が存在する。なお、PSPでは曲名が英語表記に一本化されているが、ここでは初出の曲名に倣うものとする。

ヘッドレス戦で流れるのがこの曲である。その名の通り頭のない化け物で、所定のスイッチを押すとプレイヤーを取り囲むように4体同時に出現する。対抗手段を練らなければタコ殴りに遭う初見殺しのようなボス戦を、手始めにリズミカルなフレーズの反復でじっくりと焦らす。8秒から音色が増えて徐々に勢いづくと、17秒で思わず目が回りそうなほど高速な音階を奏で、長めのイントロを鮮やかに締め括る。イントロ明けの21秒以降は、勇ましい主旋律の裏で小刻みにベースを刻むことで、非常に歯切れの良いハイテンションなノリを感じさせる。インパクト抜群のメインメロディーはさることながら、すこし趣の異なる55秒からのパートも印象的で、低音から高音までうまく伴奏を散りばめて力強い聴き応えを生み出す。ループ直前の1分10秒にはパーカッションを駆使することで、イントロとはまた違った独特な焦らしを利かせ、間もなくメインメロディーへと再突入する。突き抜けるような鋭い昂揚感に満ちた一曲である。

素晴らしく格好良いですよね。PSPのアレンジ(神藤由東大さんによる)はギターがバリバリ効いたいかにもなメタルアレンジです。『HEADLESS』、あわせてどうぞ。

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