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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1102 『VS. スタードリーム』(安藤浩和/星のカービィ ロボボプラネット/3DS)

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HAL研究所がおくるアクション・星のカービィより、

安藤浩和作曲、ロボボプラネットの『VS. スタードリーム』。

ラスボス戦の第一形態で流れます。

星のカービィシリーズのうち、トリプルデラックスに続く3DS向けの第2弾にあたる本作。今度のカービィは宇宙企業・ハルトマンワークスカンパニーによってキカイ化されてしまった惑星を取り戻すべく、ロボボアーマーに乗り込んで立ち向かうことになる。従来の自然豊かでファンシーな世界観から一転、SF的な舞台設定でロボが活躍するメカメカしい作風が特徴である。目玉要素のロボボアーマーは初期状態でもパワフルだが、カービィのコピー能力よろしく敵をスキャンすることで変形し、多彩で爽快なアクションを繰り出すことができる。メインモードのほかにも最大4人まで協力プレイできる共闘アクションRPGと、コピー不可で吸いこみとはき出しを軸としたパズル要素の強い3D見下ろしアクションの2種類のサブゲームが収録されている。また、クリア後に解禁されるモードも存在するなど、量・質ともに充実している。異質な雰囲気だが従来通りの遊び心満載な仕上がりとなっている。後にサブゲームを独立させたものがダウンロード専用で登場した。

本作の音楽を担当するのは安藤浩和氏と石川淳氏。HAL研究所に所属する作曲家で、前作はもちろん、シリーズ初期から携わっているいつもの顔ぶれである。本作では過去作からの流用やアレンジを含めて150曲を超える大ボリュームの楽曲が収録されている。傾向としては作風に沿った電子音楽+オーケストラ系のサウンドが多く、ものによっては機械音などの怪しい効果音を取り入れている。また、メインテーマのフレーズを随所に散りばめるおなじみの手法も見受けられる。サウンドトラックについては、一部の過去曲と本作初出のオリジナル曲を網羅したものが存在する。

ラスボス戦の第一形態で流れるのがこの曲である。四連戦の先発で、最終決戦艦ハルバードモードに変形して迎撃するシューティングタイプの戦闘である。精神融合して自我が芽生え、暴走してしまったマザーコンピュータと対峙するにあたって、戦艦をじかに操作できるという熱い展開を強調するように、この曲は非常に力強い熱さと勇ましさを兼ね備えている。恒例の複数曲のメドレーアレンジで、ムービー曲の『Fatal Error』やハルトマンワークスカンパニーの社歌『銀河に名立たるハルトマン』、曲後半には『戦艦ハルバード:艦内』やシリーズの代表曲である『GREEN GREENS』も含まれる(前2曲は安藤氏の作曲、後2曲は石川氏の作曲)。イントロこそ不穏さが滲むが、17秒から主旋律が入ると、電子音と管弦楽器の勇壮極まる組み合わせで次々と各曲のフレーズを繋ぎ合わせていく。豪快な曲構成でどんどん盛り上がっていくなか、昂揚感のなかにかすかな切なさをも織り交ぜている。後戻りできない最終決戦のシチュエーションを手際よく表現した会心の一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。後続の戦闘曲も連鎖的に格好良くて印象深いです。せっかくなので全部乗せで『主のいないインテルメッツォ』(石川さん作曲)、『回歴する追憶の数え唄』、『この一撃に桃球レボリューション』(二つとも安藤さん作曲)、あわせてどうぞ。

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