VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1101 『CLOUD GATE』(葉山宏治/グランチェイサー/SS)

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ネクステックがおくるSFレースゲーム・グランチェイサーより、

葉山宏治作曲、『CLOUD GATE』。NUBESで流れます。

シルヴァンテイルなどで知られるネクステック製のレースゲームとして登場した本作。星系間戦争が巻き起こる近未来を舞台に、戦争の代わりにレースの勝敗で銀河の覇権を争うべく、地球代表ドライバーを目指す主人公、クレイ・ショウが立ち上がることになる。物語に沿ってレースを制覇していくストーリーモードと、自由にコースを攻略できるフリーランモードが収録されている。自機は車輪がなく宙に浮かぶホバーマシンをモチーフにしていて、ブーストという加速性能のほかに、ミサイル発射やシールドといった攻防に用いる操作も搭載されている。特筆すべきは車体デザインにSyd Mead氏(代表作は映画「ブレードランナー」や「スタートレック」など)を起用している点で、マシンやコースの見た目も含めて全体的にSFらしい世界観を重視している。壮大な作風の割にやや薄味なつくりだが、近未来の雰囲気を味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは葉山宏治氏。フリーランスの作曲家である。本作では近未来SFレーシングというコンセプトから連想し得る通りの、シンセをバリバリ活かしたアップテンポなエレクトロニックサウンドが揃っている。各コースの楽曲に加えて、ストーリーモード用の幕間のBGMなども充実している。サウンドトラックは短いジングルやエクストラアレンジも含めて収録されている。

NUBESで流れるのがこの曲である。ストーリーモードの攻略順序だと(STANDARDなら全5面、ADVANCEDなら全6面中)4番目に挑むコースで、ガス惑星を舞台としている。道幅が狭くコースの全長が短いため、必然的に短期決戦になりやすい構造である。冒頭からオーケストラヒットで派手に盛り上げ、メインフレーズが入る6秒頃にはさらに大袈裟なほど勇ましい旋律を奏でる。シンセブラスの強烈な音色に、19~21秒や33~35秒などでみられるような煌びやかな音階が響き合うことで、ただ派手なだけに留まらない美しさも感じさせる。1分4秒で入る間奏でも相変わらずオーケストラヒットは健在で、しばらくして1分14秒から主旋律が目まぐるしい勢いで駆け出すと、続くフレーズはよりいっそう勇壮に響き渡る。一直線に突っ走る状況にふさわしい、猛然とした迫力に満ちた一曲である。

メインテーマって言っても通用しそうな迫力ですね。