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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1100 『Vector to the Heavens』(下村陽子/キングダム ハーツ 358/2 Days/NDS)

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スクエニがおくるアクションRPGキングダムハーツより、

下村陽子作曲、Daysの『Vector to the Heavens』。シオン戦の最終形態で流れます。

ディズニーとスクエニがタッグを組むキングダムハーツシリーズの4作目にあたる本作。初代と2の間の時間軸を舞台に、XIII機関の新入りの少年・ロクサスは、同じく新入りの少女・シオンとともに機関の命令に従い、心を闇に覆われた存在・ハートレスと戦うことになる。シリーズの主役であるソラの代わりに、彼の分身とも言えるロクサスを主人公に据えていて、2に至るまでの流れを補完するような情緒的な物語を描いている。パネルシステムという成長要素を採用していて、スロットに様々な効果を持つパネル(武器や魔法はもちろん、キャラのレベルもパネルで管理される)を配置することで自分好みの性能を引き出せる。メインストーリーに加えて最大4人のマルチプレイにも対応していて、操作できるキャラは総勢19人という充実ぶりが特徴である。敵がかなり硬いなどゲームバランスやテンポ面の粗はあるが、終盤に向けて大きく盛り上がるシナリオが魅力的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは下村陽子氏。フリーランスの作曲家で、キングダムハーツシリーズには初代から携わっている。本作では前作の流用やアレンジなどが大多数を占めるため、新曲の数は控えめだが、ピアノやストリングスを効果的に用いることで、物語の雰囲気に非常にマッチした切なくも美しい楽曲群を揃えている。サウンドトラックについては、後発のRe:codedやBbSとあわせて本作の楽曲が収録されている。

シオン戦の最終形態で流れるのがこの曲である。この後にも戦闘があるため、厳密にはラストバトルではないが、それに準ずる最終盤の重要な戦闘を指す。シオンのテーマ曲である『Musique pour la tristesse de Xion』の戦闘アレンジで、悲痛な運命を象徴するようなオーケストラサウンドが印象的である。出だしからピアノとストリングスで悲劇的なムードを整え、主旋律が入る11秒頃からは張り裂けんばかりの哀しみを滲ませる。全編にわたって強く儚い悲壮感に満ちあふれていて、この曲単体としてのみならず、複数の楽曲のフレーズを引用したメドレーとしても抜群の出来栄えを誇る。『Musique pour la tristesse de Xion』でもみられたように1分15秒くらいからシリーズのヒロインであるカイリのテーマ曲を取り入れていて、さらに1分25秒以降はシリーズ通してのメインテーマである『Dearly Beloved』をも溶け込ませている。ひたすら物悲しく、それでいて決然とした雰囲気を纏った、ぐっと心を締め付けられるような一曲である。

とても素敵な曲に、とても素敵な曲名ですね。『Musique pour la tristesse de Xion』、『Kairi I』、『Dearly Beloved』(本作のバージョンにします)、あわせてどうぞ。 

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