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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1099 『甲子園』(岩切剛丈・小野貴士・佐藤直之・砂子純子・広野智章/パワプロクンポケット4/GBA)

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コナミがおくる野球バラエティ・パワプロクンポケットより、

岩切剛丈・小野貴士・佐藤直之・砂子純子・広野智章作曲、4の『甲子園』。

甲子園到着時に流れます。

実況パワフルプロ野球の派生作品であるパワポケシリーズのナンバリング4作目にあたる本作。日の出島という離島に引っ越してきた野球好きの高校生である主人公は、島の慰霊碑を倒してしまったせいで試合に負けるたびに野球部員が神隠しに遭う呪いにかかったことから、呪いを解くべく甲子園優勝を目指すことになる。野球や仲間との交流はもちろん、部員集めや部費の管理なども含めて攻略する表サクセスと、勇者になって中世ファンタジーを冒険する裏サクセスが収録されていて、ときにオカルトテイストでときに王道な、個性的なシナリオを楽しむことができる。本作からアルバムモードが追加され、エンディング条件を満たしてアルバムを埋めていくコレクション要素が深まったほか、ペナントモードも新たに搭載された。以降のシリーズに受け継がれるシステムやキャラが多く登場した手堅い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岩切剛丈氏、小野貴士氏、佐藤直之氏、砂子純子氏、広野智章氏。いずれも当時コナミに所属していたか現在も所属している作曲家である。パワポケシリーズで言うと砂子氏は初代から携わっていて、佐藤氏は2以来の参加、他は初参戦である。本作では高校球児の青春を彩る明るい曲調から熱い曲調、裏サクセスの作風に沿った本格的なRPGサウンドまで、バラエティ豊かな楽曲群が揃っている。サウンドトラックは長らく存在しなかったが、2021年の歴代シリーズ一斉音源化に際して各種オンラインストアでデジタル配信されるようになった。

表サクセスで甲子園に到着したときに流れるのがこの曲である。専用のカットシーンが一瞬だけ入り、直後の会話イベントでは通常の楽曲に切り替わるため、作中で流れるのはごく限られているが、その一瞬に全力投球するような情熱的な曲調に仕上がっている。離島の弱小校から呪いに苛まれながらも上り詰めた夢の舞台を彩るにあたって、全編にわたって非常に真っすぐで勇ましい旋律が紡がれる。前向きな昂揚感を漂わせつつ、渋めのベースラインによって適度な緊張感を生み出していて、25秒頃にはすこし落ち着いたフレーズを奏でて勢いを整えると、続くサビの格好良さをいっそう鮮やかに引き出す。甲子園球場の土を踏めた喜びと、来る試合に向けて奮い立つ感覚の両方がひとまとめに伝わってくる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。GBA音源の独特な響きが曲の雰囲気によく合いますね。