Sector D2がおくるフライトシューティング・Project Wingmanより、
Jose Pavli作曲、『Midnight Light』。ミッション12で流れます。
オーストラリアの個人クリエイター・Abi "RB-D2" Rahmani氏によるインディーゲームとして登場した本作。地殻変動による大厄災から数百年後、After Calamityと呼ばれる時代を舞台に、傭兵団に所属する主人公（コールサイン：Monarch）は契約先の共和国とともに台頭する連邦と戦うことになる。ブリーフィング→機体・兵装の選択→出撃の流れで進めるオーソドックスなミッションクリア型のフライトシューティングである。全21ミッションで物語を追体験するキャンペーンモードと、遊ぶたびにミッションの内容や敵の配置等が変化するローグライク風のコンクエストモードが存在する。純粋にドッグファイトの面白さを重視した作風が特徴で、ミッションの種類はそう多くない代わりに、特殊兵装は最大3つ装備できるし、オプション次第で敵の数を倍増させたり弾幕シューティングさながらの熾烈な密度で戦ったりすることもできる。全編VRに対応していて、総じて個人開発ながらも大作に匹敵するクオリティを誇る仕上がりとなっている。後にXbox OneとX|Sに移植された。
本作の音楽を担当するのはJose Pavli氏。主にテレビや短編映画の劇伴作曲の分野で活躍するフランス出身の作曲家である。ゲーム音楽に携わるのは本作が初めてで、オーケストラやテクノを軸とした臨場感のある楽曲群を書き下ろしている。概ねミッションごとに楽曲が用意されているのに加え、一部のミッションでは後半戦で曲が切り替わるなど、サウンド面でも量・質ともに充実している。サウンドトラックはSteamのDLCや各種デジタルストア経由で配信されているほか、氏自らのYouTubeチャンネルで全曲公開されている。
ミッション12「MIDNIGHT LIGHT」で流れるのがこの曲である。沖合で不穏な活動を見せる連邦に対し急襲を仕掛ける夜間任務である。暗く美しい海と空が広がるなかでの攻防をチルアウト系のテクノで穏やかに彩る。ギターの細やかな音色にさりげなく寄り添うピアノ、どこかひんやりとした引き締まった空気感を漂わせるシンセが、静かに闘志をくすぶるような印象をもたらす。取り立てて盛り上がるようなサビこそ見当たらないが、曲全体を通じてスリルと落ち着きをバランスよく保つことで、絶えず昂揚感を刺激してくれる。夜戦のシチュエーションにふさわしい、冷静で幻想的で緊張感あふれる一曲である。
夜戦ならではの真っ暗い夜空を駆ける感覚がよく伝わってきますね。
