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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1097 『シーザー バトルBGM』(福田考代/ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン/PS3・PS4)

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荒木飛呂彦著の人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を原作とする、

サイバーコネクトツーがおくるスタイリッシュタッグジョジョアクション・

アイズオブヘブンより、福田考代作曲、『シーザー バトルBGM』。

シーザー・アントニオ・ツェペリのテーマ曲として流れます。

ジョジョのゲーム化作品のうち、前作のオールスターバトルに引き続きサイバーコネクトツー製の第2弾にあたる本作。没したはずの仲間が生き返って敵対するなどの異変が相次ぐなか、ジョースター家の血統の者たちが時空を超えて元凶に立ち向かうことになる。第1部から第8部まで50人以上のプレイアブルキャラを操作できるタッグバトル形式の3D対戦格闘ゲームで、ストーリーモードでは原作者が監修するオリジナル展開を攻略できる。前作同様、ジョジョ特有の濃厚な絵柄を再現したインパクト抜群のキャラモデルと、擬音語をふんだんに交えた独創的な演出が特徴で、本作ではクロスオーバー要素を強化し、よりキャラ同士のやりとりに注力している。タッグバトルならではの組み合わせに応じた特殊な掛け合いや必殺技が多く搭載されているほか、キャラのコスチュームやカラーを変更できるカスタマイズ機能が存在する。その他、CPU対戦やオンライン対戦にも対応している。やや大味なつくりだがキャラゲーらしい要素が揃った仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するの福田考代氏。サイバーコネクトツーに所属する作曲家である。スタッフロールのミュージックコンポーズ欄には氏が単独でクレジットされているが、他にも作曲に携わっているスタッフがいるようである(全容は不明のため、ここでは福田氏が作曲担当とみなす)。氏は前作に引き続き作曲しているほか、同じくCC2製のキャラゲー兼格ゲーという括りではナルティメットシリーズでの作曲経験がある。本作では各キャラに固有のテーマが用意されていて、情熱的なロックサウンドを中心に、ジャズやエスニック系など、曲ごとにキャラの個性や背景がしっかり感じ取れる楽曲群が揃っている。サウンドトラックは未発売だが、作中にはじめから全曲試聴できるサウンドテストが完備されている。

シーザー・アントニオ・ツェペリのテーマとして、彼と対戦する際に流れるのがこの曲である。第2部「戦闘潮流」に登場するシャボン玉を操る波紋使いで、2部主人公のジョセフ・ジョースターの兄弟子であり親友でもある。最期まで友の力となって散った凄絶な生き様を象徴するかのように、この曲はピアノとストリングスを軸とした儚くも凛々しい曲調に仕上がっている。メロディアスなピアノイントロで始まり、徐々にシンバルや煌びやかな鉄琴の音色を交えて勢いづく。24秒頃で弦が本格的に加わると、落ち着きのある中低音域で渋く勇ましい旋律を紡ぐ。51秒からは高音を駆使して哀愁を滲ませ、続くサビでは一際華麗な盛り上がりをみせる。弦の美しい旋律にピアノが鮮やかに寄り添うなか、ギターやドラムが厚みのある伴奏を奏でることで、いっそう力強い悲壮感を漂わせる。敬意を抱かせるほど勇敢で悲劇的な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。冒頭のピアノの時点で引き込まれますね。ちなみにサウンドテストの表記だとスペースやアルファベットが全角に見えますが(『シーザー バトルBGM』)、便宜上半角にしてます。

※追記 作曲者関連の内容を加筆修正しました。