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#1050 『最後の優勝を目指して!』(大久保悟・北川保昌・広野智章・弓島隆子/パワプロクンポケット8/NDS)

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コナミがおくる野球バラエティ・パワプロクンポケットより、

大久保悟・北川保昌・広野智章・弓島隆子作曲、『最後の優勝を目指して!』。

表サクセスの3年目で流れます。

実況パワフルプロ野球の外伝であるパワポケシリーズのナンバリング8作目にあたる本作。サイボーグ対策室に所属するエージェントの主人公は、ホッパーズという球団にサイボーグが関与している情報を掴んだことをきっかけに、野球のルールも知らないのにプロ選手として潜入捜査することになる。おなじみの破天荒な作風はそのままに、本作はシリーズ初のDS作品として、球場の3D表現やタッチスクリーン対応をはじめとする様々なブラッシュアップが図られている。ホッパーズで暗躍する表サクセスの特命ハンター編のほかに、裏サクセスも規模は縮小されたが収録されている。肝心の野球部分はストライクゾーンがかなり広くロックオンなしだとまともに打ちにくいうえに、選手登録に関わる大きなバグが存在するなど、全体的な遊びやすさにやや難があるが、新ハードの移行に伴うグラフィックの強化と、個性的なキャラやシナリオが魅力的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大久保悟氏、北川保昌氏、広野智章氏、弓島隆子氏。現在も所属している広野氏を除き、いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。パワポケシリーズでは北川氏は3以降、広野氏は4以降、弓島氏は5以降、大久保氏は7以降携わっている。前作と作曲陣は同一だが、本作ではGBAからDSへと移ったことでより豊かな音源を用いることができるようになった。また、前作では隠し要素だったサウンドテストが本作では正式に搭載されている。本作の楽曲は明るいものから真剣なものまで勢揃いしているなかでも、ボーカル入りの挿入歌が存在する点が特徴である。サウンドトラックは長らく存在しなかったが、歴代パワポケのサントラ全曲配信の一環として各種オンラインストアでデジタル配信されるようになった。

表サクセスの3年目で流れるのがこの曲である。本作の主人公は、当初こそ潜入捜査のために入団したが、徐々に野球の魅力に目覚めていき、ラスト一年は本気で優勝を目指すようになる。そうした主人公の心境を、非常に力強い情熱と哀愁を滲ませる旋律で表現している。管楽器の勇ましい主旋律に、音量控えめの低音のベースや、華やかだがしっとりとした伴奏が寄り添うことで、物語終盤らしいシリアスな渋さを生み出している。22~24秒で三連符のリズムを入れてうまくメリハリをつけると、続くBメロを鮮やかに盛り上げ、48秒でサビに辿り着くと、切なくも明るいメロディーラインを奏でる。曲名通りの意気込みを感じさせる一曲である。

渋さと熱さの配分がちょうどよい感じで格好良いですね。