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#1291 『熱血マン』(荒木茂・加藤裕介・北川保昌・三木彩子/がんばれゴエモン ~ネオ桃山幕府のおどり~/N64)

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コナミがおくるアクションアドベンチャーがんばれゴエモンより、

荒木茂加藤裕介・北川保昌・三木彩子作曲、ネオ桃山の『熱血マン』。

サブまりん城で流れます。

和風でコミカルなアクション・がんばれゴエモンシリーズのうち、シリーズ初の3D作品として登場した本作。今度のゴエモンは、桃の形をしたUFOで大江戸城を改造して日本の洋舞台化を企むネオ桃山幕府に立ち向かうべく、相棒のエビス丸やサスケ、ヤエとともに奔走することになる。従来の横スクロールアクションから、本作では3Dフルポリゴンによるアクションアドベンチャーに刷新された。プレイアブルキャラは初期2人+追加2人の計4人で、それぞれ武器や術が異なる。冒険の舞台は主に東北から中国あたりの本州の様々なロケーションで、道中では相変わらず弾けたノリの展開や、ミュージカルを意識した豪奢な演出を楽しむことができる。恒例の巨大ロボ・インパクト戦も健在で、コマンド入力はやや複雑なきらいがあるが、3D化に伴ってますます迫力と風格を備えるようになった。謎解きやアクション難易度は抑えめで、肩の力を抜いてカジュアルに遊べる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは荒木茂氏、加藤裕介氏、北川保昌氏、三木彩子氏。いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。作曲陣は前作までとは一新されているようだが、サウンドプロデューサー(上原和彦氏)やディレクター(冨田朋也氏)はシリーズおなじみの顔ぶれである。本作では歌劇モチーフであることに関連して劇中歌にオペラ歌手を、OPやインパクト搭乗時の挿入歌に影山ヒロノブ氏や水木一郎氏といった大御所を起用していて、非常に濃厚なサウンドを堪能することができる。ボーカル曲以外でも、和風を主軸に据えつつ、ジャズやオーケストラ系に至るまで粒揃いの楽曲が用意されている。また、進行状況に応じて曲がインタラクティブに変化する仕組みも搭載されている。サウンドトラックには原曲のほかにアレンジやボーナストラックも含めて収録されているが、未収録曲もある。

サブまりん城で流れるのがこの曲である。終盤の城ステージで、まず水中から3階まで登り、次に2階に下り、最後に再び3階へ、という三つの段階を踏んで攻略することになる。各工程で曲が徐々に賑やかになっていく(上記動画では開始~37秒が第1段階/38秒~1分21秒が第2段階/1分22秒以降が第3段階)。はじめはポンと象徴的に鳴る鼓の音や、分厚く底流するように響くストリングスの伴奏が印象的で、19秒からあえて他の楽器より遅れて三味線が合流することで、じっくり下ごしらえを整えていく。第2段階に入ってオルガン風の主旋律が加わると、以前よりは着実に華やかになるが、それでもまだ渋く落ち着いたトーンを貫いている。ここでは49秒頃に笛が遅れて合流し、三味線の持つ躍動的な響きとは一味違う、切なくも風流な響きを生み出す。新パートを挟んだ後、第3段階からは打楽器の重みが増し、和風ドラムンベースともいうべき最終進化を遂げる。和のフレーバーを残しつつ、ずしんと響くグルーヴィーなベースや、1分52秒からの派手なブラスの演奏などを交えることで、ここにきて曲名通りの熱血らしさが顕在するようになる。段階的に盛り上がっていく曲構成が魅力的な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。積み重ねていく工程が丁寧で、曲の流れにノリやすいですね。