VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1290 『East of Eden』(竜ライター/五月雨 ~samidare~/PC)

www.youtube.com

RebRankがおくる戦略的近接撃込型弾幕シールドシューティング・五月雨より、

竜ライター作曲、『East of Eden』。Extraステージの第3フェイズで流れます。

国内の同人サークル・RebRankによるシューティング作品群・Project Blankの第1弾にあたる本作。西暦にして30世紀に差し掛かる遠未来を舞台に、次元戦闘機・五月雨の操縦者として製造された生体ユニットの少女・C22は、ただ生き残るという思いを胸に戦うことになる。全3面+Extraから成る残機制の弾幕系縦スクロールシューティングで、あえて前に出て近接戦をおこなうことを想定したつくりである点が特徴である。操作は移動、ショット、シールドの主に3種類で、ボムが存在しない代わりにゲージ消費で無敵かつ吸収性能を持つシールドを展開できるため、これを駆使して弾幕に立ち向かっていく。吸収した弾はハイパーゲージに変換され、溜まり切ると自動的にハイパー状態に突入し、しばらくの間ショットの威力が大きく強化されるうえに、敵撃破時のスコアが16倍になる。貪欲に突っ込むことでさらに貪欲に攻められるようになる仕組みではあるが、弾幕は高速で苛烈で、文字通り命取りになりやすいことから、シールドの使いどころ、ゲージの残量、攻防のタイミングを見極めつつ攻略する必要がある。鋭いスリルを味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは竜ライター氏。RebRankの一員である音楽スタッフで、本作をはじめProject Blankシリーズでは欠かさず作曲している。本作ではピアノやシンセを軸とした鮮やかなトランスやテクノ系サウンドが揃っていて、全体を通して冷徹であると同時に強い陶酔感を放っている。なかにはノイズやグリッチを取り入れたトラックも存在する。また、一部の楽曲はRebRankの起源ともいえるAmusementMakers製の同人STG秋霜玉からのアレンジである。サウンドトラックについては、設定資料集やゲーム本編とあわせた特装版の五月雨アーカイブのなかに同梱されている。

Extraステージの第3フェイズ、Part3Eで流れるのがこの曲である。作中のMusic Roomより「和風・可愛いメロディといったコンセプトに、 『結界の解れから紛れ込んだラジオより流れ聴こえる外界のリズム』というイメージを加味して作りました」とあるように、他の楽曲とは毛色が異なる、すこしオリエンタルな曲調が印象的である。道中では東方Project由来の化け化けや怪綺談のユキとマイがゲスト出演するほか、ステージ背景に鳥居が映るなど、和風のモチーフが散りばめられている。浮世離れした民謡風のコーラスに、細かくリズミカルに響くシンセ、激しくスタイリッシュなパーカッションが組み合わさることで、心揺さぶられて目が醒めるような感覚をもたらす。28秒頃からコーラスと交代して主旋律が入り、しばらく悲壮感のある調べを紡いだ後、56秒頃で締め括る際にはまた交代でコーラスが入る。あわせて今度はピアノも参戦していて、冒頭とは一味違った風情を漂わせる。妙なる魅力を醸す一曲である。

コンセプトの可愛い成分も感じられるけど、かなり格好良い寄りな印象ですね。