VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1383 『黄金城』(中川輝彦/Shinobi/PS2)

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セガがおくる殺陣アクション・Shinobiより、

中川輝彦作曲、『黄金城』。最終面で流れます。

セガの忍者アクション・忍シリーズのうち、PS2向けのリブート作品にあたる本作。21世紀初頭、大地震を契機に出現した巨大な黄金城と怪生物・式神の群れによって魔都と化した東京を奪還すべく、忍の一族たる朧一族の当主・秀真は戦うことになる。前半と後半に分かれた全8ステージ(実質16面)構成の3Dアクションで、これまでのシリーズでみられた忍術や手裏剣を軸とした2D横アクションからゲーム性を大幅に刷新している。本作の特徴は殺陣と一撃死で、妖刀で敵を倒すたびに攻撃力が増し、一定時間内にまた敵を倒して殺陣を繋げることで、やり方次第でボスさえも一撃でまとめて葬り去ることができる。こちらが致命傷を与えやすい分、道中の足場から落下すれば即死するし、敵を倒し続けないと妖刀は徐々にプレイヤーの体力を蝕むし、リトライ時の再開地点は限られていて基本的にステージの初めからやり直す破目になるなど、プレイヤー側も相応のリスクを背負わされる。殺陣が決まったときの演出はもちろん、高速移動で残像を生むステルスダッシュや二段ジャンプなど、基本的な動作も含めて非常にスタイリッシュな絵面と操作感を堪能することができる。全体的にシビアで頑固なつくりだが、きらりと光る鮮やかさがある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは熊谷文恵氏、瀬津丸勝氏、中川輝彦氏、前田龍之氏、蓑部雄崇氏。熊谷氏と蓑部氏は当時、他は現在もセガに所属している作曲家である。いずれも忍シリーズには初参戦だが、前田氏以外は次作でも続投することになる。それぞれの担当曲は程よく分散しているが、ざっくり分けると瀬津丸氏と蓑部氏はイベント関連、熊谷氏と中川氏はステージ関連と一部戦闘曲、前田氏は戦闘曲まわりを中心に手がけている。笙や和笛など雅楽に通ずる音楽性と電子音交じりのテクノ系の曲調を融合させることで、和洋折衷なサウンドを作り上げている。サウンドトラックについては、一度発売された後に再度デジタルストアでも配信された。

STAGE 8-A「北辰」および8-B「太一」で流れるのがこの曲である。敵の本拠である黄金城を舞台にしたラストステージで、前半は和の意匠で彩られた壁や瓦屋根を飛び移って進み、後半は障子を裂いて畳の部屋を突き進んだり廊下を駆け抜けたりして奥を目指す。手始めに分厚くベースを奏でてシャカシャカとパーカッションを鳴らすことで露悪的でファンキーな第一印象を与えると、12秒から派手な篳篥の音色が加わって一気に和風な響きを強める。21~23秒や32~34秒には笙とシンセパッドの中間のような音色を用いて、間を縫うようにときどき鼓の音色を加えることで興を添える。1分5秒でイヨーッと掛け声が入るのを境に、1分8秒から流れが変わるが、再び掛け声が入ると篳篥が合流して精一杯力強い演奏を披露する。篳篥の響きはサックスに似た色香と小粋さを纏っていて、それが分厚く鳴り続ける伴奏のベースや、間奏で覆うように鳴るシンセなどと組み合わさることで独自の霊妙さを生み出している。和とスリルと疾走感が見事に凝縮された一曲である。

後続のラスボス戦で流れる『卑瑠呼』(同じく中川さんの作曲)のインパクトとも相まってとても格好良いですね。『卑瑠呼』もあわせてどうぞ。

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