VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1349 『Welcome to Station Square』(瀬津丸勝・瀬上純/ソニックアドベンチャー/DC)

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セガがおくるハイスピード3Dアクション・ソニックより、

瀬津丸勝・瀬上純作曲、瀬上純編曲、アドベンチャーの『Welcome to Station Square』。

ステーションスクエアで流れます。

音速のハリネズミによるスピード感満点なアクションが特徴のソニックシリーズのうち、初の3D作品にあたる本作。今度のソニックは、謎の液状生命体・カオスとカオスエメラルドを用いて悪事を企むエッグマンを阻止すべくひた走ることになる。主役のソニックの他に、飛行性能を活かして競争するテイルス、ステージ内に散らばったエメラルドを集めるナックルズ、脅威から逃げ延びるエミー、シューティングの要領でターゲットを破壊するガンマ、カエルくんを釣るビッグ、計6キャラのシナリオが用意されている。グラフィックの3D化、キャラボイスの追加と物語描写の充実、冒険の拠点となるアドベンチャーフィールドの導入、チャオという不思議な生物を育ててレースさせる寄り道要素の実装など、大小様々な新要素が盛り込まれている。シリーズの醍醐味であるスピーディーさは健在で、3Dならではの立体的な空間を駆ける快感と、やりようによってショートカット等の攻略法を編み出せる斬新さを味わうことができる。カメラワークのきつさや各種バグ、玉石混淆なゲーム性など、多少の雑味はあるが、シリーズの方向性と可能性を開拓した意欲作に仕上がっている。後に拡張版のDXがゲームキューブとPCに登場したほか、PS3Xbox360にHD移植された。

本作の音楽を担当するのは熊谷文恵氏、瀬津丸勝氏、瀬上純氏、床井健一氏。熊谷氏は当時、他は現在もセガに所属する作曲家である。このうち瀬上氏が本作のサウンドディレクターおよびリードコンポーザーを務めている。瀬津丸氏以外はボーカル曲の作詞作曲や、一部編曲などを手がけている一方で、瀬津丸氏は効果音制作(他数名と共同で)も兼任しているようである。本作では新時代の幕開けを強く印象付けるような表情豊かなロック系やファンク系の楽曲が多く取り揃えられている。また、作中にサウンドテストが搭載されている。サウンドトラックについては、ボーカル曲を収録したミニアルバムやリミックスアルバム、インスト中心で2枚組で収録された通常盤、その再録にあたるデジタル盤、シリーズ20周年記念盤などが存在する。

ステーションスクエアで流れるのがこの曲である。冒険の拠点となるアドベンチャーフィールドの一つで、海岸沿いの現代的な大都市である。小気味良いパーカッション、程よく熱く程よく爽やかなギター、スラップ(指で弦を引っ張ったり叩いたりして弾く奏法)を交えてさりげなくグルーヴを添えるベース、煌びやかに鳴るシンセを組み合わせることで、非常に胸がすくような清涼感あふれる雰囲気を生み出している。曲前半はギターが主導権を握るが、43秒からブラスが朗々と響くと、以降は引き続きギターが活躍しつつ、吹奏の華やかな音色も目立つようになる。1分8秒では再び冒頭と同じメロディーをなぞるが、ギターのみならずシンセも一緒になって派手な音色を披露することで、いっそう親しみやすく心躍る印象をもたらす。締めとなる1分25~32秒には素朴な笛の音とちょっとしたベースの見せ場を用意して後味の良いアウトロを飾る。とても眩しく涼やかな一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。ちなみにネット上にもライナーノーツみたいな感じで曲ごとに作曲者のコメントが公開されていますが、熊谷さん談の「スーパーの生鮮食品売り場みた~い」というのは言い得て妙ですね。いい意味で。

sonic.sega.jp