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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1421 『FAKE WHISPERS -WANGAN-』(岡村静良/OPTION チューニングカーバトル2/PS)

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MTOがおくるカーシミュレーション・OPTIONチューニングカーバトルより、

岡村静良作曲、2の『FAKE WHISPERS -WANGAN-』。湾岸コースで流れます。

三栄書房のチューニング情報誌・OPTIONとタイアップしたチューニングカーバトルシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。実在の国内4大パーツメーカー(APEX、HKS、TRUST、BLITZ)を中心に400種以上の多彩なパーツを組み合わせてレースに挑むことになる。車を選んで好きなコースで自由に走ったりタイムアタックに臨んだりできるアーケードモードと、チューニングした車でライバルたちと挑むチャレンジモードが搭載されている。基本的なゲーム性やコンセプトは前作を踏襲しているが、本作では収録されているコースが首都高や埠頭などを加えた6つ・各2パターンの計12種類になった。また、挙動や映像表現、車の排気音などといったリアリティの追求にも注力していて、前作から表現力が正統にパワーアップした。コース背景の細部やチューニングの仕様などところどころ大味な部分はあるが、前作より強化されて小綺麗にまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは岡村静良氏。音楽プロダクション・SWYM STANDARD PRODUCTIONSを主宰しているサウンドクリエイターである。前作に引き続き携わっていて、前作ではMISPATHZというユニットで作編曲や演奏を手がけていたが、本作では単独でSizlla Okamura名義でサウンド欄にクレジットされている。前作はギターをフィーチャーしたロック系の曲調が多かったが、本作では全体的にテクノやトランス寄りの曲調が多い。サウンドトラックにはエンジン音の効果音集も含めて収録されている。

湾岸コースで流れるのがこの曲である。夜の湾岸を舞台にトンネルや橋を通り抜けながら車を走らせることになる。スタイリッシュな夜景に見合うように、この曲はクールなドラムンベース系のナンバーに仕上がっている。イントロからワウワウとうねるように響く音色に鋭く細かく鳴るハイハットを組み合わせて鮮やかな空気感を形成し、14秒頃には囁き声を取り入れて小粋なムードを強める。テンションが十分に高まったところで26~29秒で怒涛のドラムソロを披露し、以降は官能的とも言える恍惚な歌声を交えながら曲が展開していく。はじめは女声が中心だが、55秒になると男声が聴こえ始め、さらに1分33秒頃には囁き声とも歌声とも異なって明瞭に英語をつぶやくパートが待ち受けるなど、曲を通して様々な変化を楽しませてくれる。聴いていると洒落た気分に浸れる一曲である。

なんというか自己肯定感が高まるような魅力があって、聴いていて心地良いです。