VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1128 『FREE』(増沢幹雄/ランナバウト2/PS)

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クライマックスがおくるドライブアクションランナバウトより、

増沢幹雄作曲、2の『FREE』。ルートチェックで流れます。

掟破りな運び屋となって暴走運転するランナバウトシリーズの2作目にあたる本作。依頼人からの仕事を請け負って世界中の様々なコースを爆走することになる。車で突っ込んで破壊しまくる破天荒なゲーム性はそのままに、本作ではストーリーが追加され、ややシリアス寄りな作風に変わった。コースは3つしかなかった前作から大幅に増えて13個用意されていて、選べる車種も22から31種に増加するなど、ボリューム面が大きく改善された。戦車はもちろんPANDA(遊園地のパンダの乗り物)といった怪しいマシンが勢揃いしていて、しっかり乗りこなして依頼を達成するもよし、気ままに大惨事を起こすもよし、アイテム収集やマシン解禁をはじめとするコレクション要素を地道に埋めるもよし、相変わらず自由な遊び方を楽しめる。総じて前作から正統に強化された怪作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは増沢幹雄氏。情報がすくなく判然としないが、担当タイトルが本作の開発元であるグラフィックリサーチ製の作品に集中していることから、おそらくグラフィックリサーチに所属していたものと思われる。本作以外のランナバウトシリーズはロックバンドのザ・サーフコースターズが音楽を手がけているが、本作では不参加である。ノリの良いロック路線を概ね踏襲しつつ、ストーリーの進行に応じて、ものによっては重く悲壮感のあるオーケストラ調なども取り入れている。サウンドトラックは主題歌を含めて収録されている。

ルートチェックで流れるのがこの曲である。本番に挑む前にコース内容を確認できるモードである。お試し感覚で下見するシーンを、曲冒頭からすこぶる陽気なピアノで快活に彩る。ピアノの旋律にあわせて一定間隔で激しく爆ぜるようなドラムが響くことで、軽やかだが軽薄ではないような絶妙なバランスを生み出している。16秒頃からは即興風のピアノにウッドベースが寄り添うようになり、ジャズならではの小洒落た雰囲気を醸し出す。以降しばらくノリノリな演奏を披露し続け、1分4秒でイントロと同じフレーズに戻ったと思いきや、続く1分8秒でオクターブが上がっていて、ループに入るまでもうしばらく楽しませてくれる。特に1分55秒~2分の激しいピアノフレーズや、直後のウッドベースの見せ場が印象深く、ややあって再度ピアノが合流するといっそう派手に盛り上がる。聴けば聴くほど上々な気分になれるような一曲である。

とても楽しい曲ですね。