Q-Gamesがおくる横スクロールシューティング・PixelJunk SideScrollerより、
High Frequency Bandwidth(Dom Beken・Alex Paterson)作曲、
『Zodiac 3 Arts Klub』。最終面で流れます。
異なるジャンルの連作として展開されるPixelJunkシリーズのうち、新感覚レトロ横シューというコンセプトで登場した本作。それぞれ4つのセクターに分かれた3つのステージと、ステージをすべてクリアした暁に挑戦できる最終面から成るアーケードライクな横スクロールシューティングである。ワイヤーフレームによる素朴だが色彩豊かなグラフィックと、さながらブラウン管に映し出されているかのような画面構成や演出が特徴で、全編にわたって古典的であると同時に独自性のあるビジュアルを楽しむことができる。武器は強化可能なマシンガン・レーザー・ボムの3種類、難易度は最初から選べるCASUALとNORMAL、および解禁要素のHARDとEXPERTの4種類で、全体的に地形を考慮した位置取りが重要となるゲーム性を持つ。オーソドックスながらも独創的なセンスが光る仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはHigh Frequency Bandwidth。Dom Beken氏とAlex Paterson氏によるイギリスの音楽ユニットで、ヒップホップやアンビエント、エレクトロニカなどのジャンルを組み合わせたユニークな作風で知られる。PixelJunkシリーズには本作以前にもShooterとShooter 2で作曲したことがある。本作の楽曲はチルアウト系のノリを持つスタイリッシュなエレクトロニックナンバーが揃っている。サウンドトラックについては、未使用曲やボーナストラックも含めて収録したものが各種オンラインストアで配信されている。
最終面で流れるのがこの曲である。静かにざわつく電子音で始まり、10秒頃からじっくりと拍を刻むパーカッションとともに穏やかなメロディーが加わる。ときに重めの音色を鳴らしてみたり、ときに静謐なフレーズを奏でたりしながら、しばらくの間は落ち着いたトーンを保ち続ける。1分12秒あたりでハウリングするような効果音が響くと、それを境に徐々に曲の流れが変わり、1分半過ぎに入るボイス("A musical surprise")を合図に、満を持してエレキギターが激しい轟音を鳴らし出す。重く激しく、それでいてなお独特な安定感を維持する音色が印象的で、1分56秒以降のサビで歌声が加わって熾烈に盛り上がる場面でも、やはり不思議と揺るぎない落ち着きを感じさせる。その後も、一時的に声をくぐもらせたり、フレーズの合間に鉄琴やストリングスによる美しい合奏を挟んだり、軋むような音色を取り入れたりと、様々な工夫を凝らすことで、メリハリ豊かな曲展開でたっぷり魅せてくれる。ラストステージを彩るにふさわしい、派手で切なくて心を強く揺さぶってくる一曲である。
度肝を抜かれるようなインパクトがありますね。ちなみに曲名はおそらくZodiak Free Arts Labという60年代ベルリンの音楽クラブが元ネタっぽいです。