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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1526 『Muddy Zone』(Falcom Sound Team jdk/東亰ザナドゥ eX+/PS4)

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日本ファルコムがおくる都市型神話アクションRPG・東亰ザナドゥより、

Falcom Sound Team jdk(宇仁菅孝宏・園田隼人および神藤由東大)作曲、

eX+の『Muddy Zone』。緑の小水道などで流れます。

ザナドゥシリーズの名を冠する作品としてVitaで発売された東亰ザナドゥPS4移植にあたる本作。無印版の物語やゲーム性はそのままに、ハード性能を活かしてフルHD・60fps対応の快適な動作を実現している。本編の他に、主人公以外の視点から紡がれるサイドストーリー、クリア後の後日譚となるアフターストーリーの2本のシナリオが新規収録されている。追加ダンジョンやボス、プレイアブルキャラ昇格、やり込み要素としてボスラッシュやタイムアタックが搭載されたほか、操作面でも据置機向けに調整されている。ゲージ消費で強力な一撃を放てるEXスキルをはじめとするシステム上の拡張のみならず、攻撃や回避といった基礎的なアクションの手触りも見直されている。単なるリマスター移植に留まらぬ要素が充実した仕上がりとなっている。後にSteamやスイッチにも登場した。

本作の音楽を担当するのはFalcom Sound Team jdkの面々。具体的な内訳は宇仁菅孝宏氏と園田隼人氏、そして外部コンポーザーの神藤由東大氏である。無印版では真我光生氏が携わっていたが、本作では真我氏と入れ替わるような形で神藤氏が参加している。シナリオの新録に伴って追加曲が相当数用意されていて、主題歌、戦闘曲、ダンジョン曲など一通り丁寧な水準で豊富なラインナップが揃っている。サウンドトラックは移植前と後でそれぞれ発売されていて、後者は追加曲のみが収録されている。

緑の小水道や琥の小水道、白魔の氷路で流れるのがこの曲である。いずれもアフターストーリーで訪れることになる、一本道タイプで似た構造の異界ダンジョンである。水道や氷路と言っても清らかなイメージではなく、触れると毒やダメージを喰らうため、忌まわしい空気感が充満している。そうした雰囲気を反映して、この曲は随所に不穏なギターや重圧的な効果音を散りばめている。ベースやパーカッションは低く唸るような調子で付き纏うが、40秒から徐々に流れが変わり始めると次第に存在感を強める。55秒からはギターが顕著に目立つようになり、ピアノやシンセストリングスも交えて、相変わらず不穏だが現代的で鮮やかな響きを帯びていく。とりわけ1分35秒から奏でられるギターのメロディーは格好良く、後を追ってストリングスが同じ旋律をなぞることで、全体的に暗めな曲調でもしっかりと盛り上げてくれる。濁りつつも光る印象のある一曲である。

この手の怪しいダンジョン曲はとても好みで気分が上がります。