カプコンがおくるエモーショナルアクション・カオスレギオンより、
深澤秀行作曲、『feel no fear』。空中回廊で流れます。
SF作家の冲方丁氏によるライトノベル「カオス レギオン」のメディアミックス作品として登場した本作。闇が渦巻く世界を舞台に、聖法庁の黒印騎士団に所属する青年・ジークは、かつての上官であり友であるドラクロワが禁断の外典を持ち出して聖法庁に反旗を翻したことを受け、彼を追うべく戦うことになる。ダークファンタジーの濃厚で暗澹とした世界観が特徴的なステージクリア型の3Dアクションで、物語は原作の聖戦魔軍篇をベースにしている。大量の敵を薙ぎ倒す一騎当千系のゲームデザインを採用しているが、主人公にはレギオンという召喚獣の軍勢を呼び出すことができるため、一対多ではなく多対多の攻防が繰り広げられる。レギオンはそれぞれ戦闘スタイルの異なる7種類が用意されていて、各ステージでは2種類まで装備して適宜使い分けることができる。グラフィックやアクションの迫力は見応えがあるが、良くも悪くも低難度で似通ったシチュエーションとステージ構成で戦い続ける都合上、全体的に一本調子なきらいがある。総じて練り込みが甘めだがポテンシャルを秘めた意欲作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは深澤秀行氏。フリーランスの作曲家である。ゲーム音楽方面では本作の発売前年に鬼武者2で音楽制作の裏方として携わったことをきっかけに、カプコン製の作品に頻繁に関わることになる。本作は氏にとって初めて単独で作曲を担当したゲームであり、荘厳なオーケストラや退廃的なコーラスに派手なドラムンベースやゴシックメタル系の曲調を掛け合わせたアグレッシブなサウンドが揃っている。サウンドトラックには主題歌も含めて収録されている。
STAGE 10「禁断の封都イザーク ～空中回廊～」とSTAGE 11「禁断の封都イザーク ～深部～」で流れるのがこの曲である。全14面のなかでも後半のステージであり、周囲が雲海に覆われて全体的に灰色がかった景色が続く。そうしたなか、イントロの第一音からデジロックらしさ全開の攻撃的なリズムを刻んで、昂揚感をぐいぐいと刺激する。14秒でクワイアが参戦すると、その響きは幻想的で耽美的な雰囲気を纏っているが、曲調そのものは依然としてハードでバイオレントな印象を貫き続ける。基本的には規則的なビートのもとで進行するが、47～48秒で変化球を交えることで耳に残るインパクトを生み出す。さらに1分16秒ではストリングスオーケストラが雪崩れ込んできて、聴き進めるうちに不穏で凄惨な色合いが増していく。それでも相変わらずパーカッションの存在感は健在で、ひたすら前へ戦線を押し上げていくような勢いが保たれる。豪胆無比な一曲である。
ゴリゴリにアグレッシブだけど割とシンプルというか聴きやすくて良いですね。
