POCKET PAIRがおくるリアルタイム型新感覚カードバトルアクション・
オーバーダンジョンより、矢野達也作曲、『隠しボス戦』(仮称)。
隠しボス戦で流れます。
国内のインディーゲームスタジオ・POCKET PAIRの代表作にあたる本作。願いを叶えるという希望のタマゴを手に入れるべく、入るたびに構造が変わるダンジョンの最下層を目指すことになる。ローグライク、タワーディフェンス、カードバトルを掛け合わせたジャンル横断的な作風が特徴で、異なる特性を持つ三人の主人公のいずれかを操り、アルパカやひよこなどのカードを揃えてデッキを構築し、リアルタイムで大量に召喚して圧倒的物量で敵を薙ぎ倒していく。大味だが爽快感のあるゲームバランスと、ごった煮でありながら各要素がかっちり噛み合ったシステムとが相まって、新進気鋭な意欲作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは矢野達也氏。当時フリーランスだった作曲家で、それ以前にはコーエーテクモ(担当作品はガストブランドに集中している)に所属していた経験がある。本作はコーエーテクモ退社後、現在所属している音楽制作会社LOVE ANNEXに移籍するまでの間に担当した作品である。息をつく間もなく矢継ぎ早に展開する本作のゲーム性にあわせて、オーケストラと民族音楽が融合したスピーディーでハイブリッドな楽曲が揃っている。サウンドトラックはSteamのDLCとして配信されているが、一部未収録の曲があるため、ここで扱う該当曲については便宜上の仮称を付す。
ラスボス戦前の選択次第で、撃破後に立ちはだかる真のラスボスとの戦闘で流れるのがこの曲である。ピンと張り詰めたような緊張感あふれるピアノとストリングスのイントロから始まり、オーケストラを随えて勢いを蓄えていくと、25秒からメインテーマである『Theme for "Overdungeon"』のフレーズを借りて大きく盛り上がる。しばらく伴奏に徹するピアノだが、50秒あたりで見せ場を得ると、力強い余韻を保ちつつ管弦楽器へと主役のバトンを渡し、慌ただしくも壮大なアンサンブルを紡いでいく。5段階まで形態変化するうえに制限時間を過ぎると強制敗北になるなど、一瞬たりとも気を抜けない隠しボス戦の白熱のシチュエーションを鮮やかに表現した一曲である。
ネタバレ防止的な意図でサントラに収録しないのは分からなくもないですが、なんとか音源化&曲名確定してほしいものです。ちなみにメインテーマのフレーズは道中のダンジョン曲などでも使われている馴染みのメロディーです。『Theme for "Overdungeon"』、あわせてどうぞ。