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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#847 『Golem King』(David Fenn/Moonlighter/PC・PS4・XOne)

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Digital SunがおくるローグライクアクションRPG・ムーンライターより、

David Fenn作曲、『Golem King』。ゴーレムキング戦で流れます。

スペインのインディーゲームスタジオ・Digital Sunのデビュー作にあたる本作。異次元に繋がるゲートが発掘された辺境の村・リノカを舞台に、村で唯一のショップを営む青年・ウィルは、勇者と店主の二足の草鞋を履いてゲートの先のダンジョンに挑むことになる。自動生成されるダンジョンを踏破し、入手したアイテムを自分の店に陳列して商売し、売上を出資して村を発展させていく、ローグライクかつ経営シム要素ありのトップビュー型アクションRPGである。店の経営は相場を考慮した商品価格の設定や需要の把握、ときには万引きへの対処も見越して進めていき、冒険と商売のハイブリッドなゲーム性が楽しめる。システムの濃さの割にボリュームがすくなめで薄味だが、斬新さが光る意欲的な仕上がりとなっている。後にスイッチやアプリ向けに移植された。

本作の音楽を担当するのはDavid Fenn氏。追加の有料DLC(Between Dimensions)の作曲はAlex Benet氏が手がけている。Fenn氏はイギリス出身の作曲家で、本作のようなインディーゲームに曲を提供する傍ら、氏本人も自らのスタジオ・Acid Nerveを経営している。対するBenet氏はもともと本編でもサウンドデザインを担当していて、DLCでコンポーザーに抜擢されたスペイン出身の作曲家である。本作ではドットテイストの温かみのあるグラフィックにあわせて、楽曲も穏やかな民族音楽調のものが揃っていて、村や店は和やかな癒しをもたらす音楽が、ダンジョンや戦闘は冒険心を強く揺さぶる音楽が用意されている。サウンドトラックは両氏のBandcampやSteam経由でデジタル配信されている。

各ダンジョンの最下層にはガーディアンと呼ばれるボスが待ち受けているが、そのうちの最初のダンジョンであるカタカッタのガーディアン・ゴーレムキングとの戦闘で流れるのがこの曲である。打楽器とともに力強く始動するストリングスの音色が特徴で、続いて奏でられるピアノの音色が、たちまち臨場感たっぷりにボス戦の緊張感を表現する。どこまでも勇ましく響くその旋律は、タイトル画面で流れる『Beyond the Gates』の正統なアレンジで、フォルクローレ的な印象が強いそちらに比べて、こちらは王道なオーケストラサウンドに仕上がっている。勇者として果敢に戦う姿をいっそう凛々しく印象付けてくれる一曲である。

ボス戦はこの曲以外も基本的にメインテーマのアレンジですが、初めてのボス戦でしっかりツボを押さえてオーソドックスなオーケストラ調に仕上げてくれたのがとても素敵ですね。『Beyond the Gates』もあわせてどうぞ。

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