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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#846 『牧場:春』(森田朋子/ルーンファクトリー3/NDS)

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ネバーランドカンパニーがおくるファンタジー生活ゲーム・ルーンファクトリーより、

森田朋子作曲、3の『牧場:春』。春の牧場で流れます。

ファンタジーと牧場経営が融合したルーンファクトリーシリーズのうち、ナンバリング3作目にあたる本作。モンスターに変身できる記憶喪失の主人公は、豪雨の夜、モンスターの姿で倒れていると、花屋の娘・シアに看病され、彼女の誘いに応じてシアレンスの町で牧場を借りることになる。主人公が変身することで、人間とモンスターの両方の視点から周囲と交流を深めたり冒険したりできる点が特徴で、特に冒険ではモンスターやアクティブシード(生きた作物)のほか、仲の良いヒロインと一緒に探索することができる。曲者揃いだけど魅力的なヒロインたち、大幅にテンポが改善された牧場要素、変身前後でアクション性が異なる爽快な戦闘システムなど、いずれも小気味良くまとまった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは森田朋子氏。当時ネバーランドカンパニーに所属していた作曲家で、ルーンファクトリーシリーズには1作目から欠かさず携わっている、シリーズサウンドの生みの親である。本作でもファンタジー世界を彩るのどかな曲調のものからシリアスな曲調のものまで、季節や場所ごとに豊富に用意されている。サウンドトラックは次作の4の限定盤に同梱される形で、本作と4の楽曲がそれぞれ収録されている。

牧場において、季節が春のときに流れるのがこの曲である。温かみのあるギターと笛、それにハーモニカが重なり合って響く、牧歌的で叙情的なメロディーラインが印象的で、五穀豊穣を予感させるような麗らかで晴れやかな音色が、優しさに包まれた春のイメージにぴったりと寄り添っている。しばらく安寧に満ちた旋律が紡がれると、1分12秒頃からギターの独壇場となり、しっとりとした哀愁を帯びながらも、希望にあふれた前向きな間奏が奏でられる。ノスタルジックだけど、こざっぱりとした明朗さのある一曲である。

風が頬を撫でるように、音が耳を撫でるような、そんな心地良い感触を受ける曲ですね。