ネバーランドカンパニーがおくるRPG・エストポリス伝記より、
塩生康範作曲、『大地』。フィールドで流れます。
ネバーランドカンパニーのデビュー作にして初期の代表作である本作。英雄・マキシムが四狂神を打ち破った虚空島戦役から99年後の世界を舞台に、マキシムの子孫である主人公は、突如復活した神々に対抗すべく、記憶喪失の幼馴染・ルフィアとともに冒険に出ることになる。開始早々、回想という形で先祖の最終決戦(実際に高レベルのマキシムを操作して戦闘する)が挿入される点が最大の特徴で、戦闘システムは素早さに応じて行動順と行動回数が変動するアジリティーバトルという独自要素を入れつつも、基本的にはコマンド式のオーソドックスなつくりとなっている。終盤にかけて大きく盛り上がるドラマチックなシナリオと相まって、正統派の堅実なRPGに仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは塩生康典氏。当時ネバーランドカンパニーに所属していた作曲家で、エストポリスシリーズにはすべて携わっている、シリーズサウンドの生みの親である。本作では王道ファンタジーの世界観に沿った勇壮かつ幻想的な曲調のものが多く、一部の楽曲は続編でも再三アレンジされることになる。サウンドトラックは本作単体では存在しないが、続編とともに収録されたものが二種類(一方はGBAのよみがえる伝説の楽曲も含むが、もう一方は含まない代わりにデジタル録音による高音質版となっている)発売されている。
フィールド曲として流れるのがこの曲である。勇ましくも儚い旋律が印象的で、30秒過ぎから加わる笛の音色が、包容力たっぷりに寄り添うストリングスの伴奏とあわせて神秘的な美しさを誇る。イントロから繰り返し反復されるメロディアスなサビは、笛の間奏を経てさらに奥深い悲愴感を生み出し、切なさと力強さが見事な融合を果たす。前途多難でもくじけることなく一歩ずつ大地を踏みしめる、その勇気と決意を音で表現した一曲である。
エンカウント率が高く、戦闘終了後は曲の頭から再生されるので、手を止めて聴き入らない限り笛のパートまで聴けるのは稀ですが、イントロの時点でかなりキャッチーで印象に残りますね。ちなみに2でもフィールド曲は同名かつ曲調も似ていますが、アレンジではなく新曲で、透明感に満ちた素敵な仕上がりです。あわせてどうぞ。