レアがおくるアクション・バンジョーとカズーイの大冒険より、
Grant Kirkhope作曲、『ホットアイスやま(アイスサイド)』(仮称)。
ホットアイスやまのアイスサイドで流れます。
クマのバンジョーと鳥のカズーイのコンビが数々の難路を乗り越えるバンジョーとカズーイの大冒険シリーズの2作目にあたる本作。前作の戦いから2年後、倒されたはずの悪い魔女・グランチルダが復活したことを受け、バンジョーとカズーイが再び大冒険に出ることになる。前作同様、コミカルでシニカルな世界観や、二匹の協力が肝となるゲーム性は受け継いでいて、本作では新たに多数のアクションが追加された。具体的には照準を合わせて狙い撃つエッグエイムや、岩をも砕くくちばしドリル、二匹で別鼓動するセパレートなど、冒険や謎解きに大いに役立つ個性的なアクションが揃っていて、これらは道中でオンプを集めれば数に応じて新技を習得することが可能である。バンジョーとカズーイの他に、本作では呪術師のマンボ・ジャンボを操作するシーンもあり、魔法を用いた独自の動きを取ることができる。前作と比べてミスした際のペナルティが緩和されてリトライしやすくなったり、次のステージに進むために必要なジグソーピースの数が減りつつも相変わらずやり込み要素は豊富に用意されたりしていて、遊びやすさと歯応えのバランスが絶妙に保たれている。総じて前作の魅力を継承して強化した順調な仕上がりとなっている。後にXBLAで配信された。
本作の音楽を担当するのはGrant Kirkhope氏。当時レアに所属していたスコットランド出身の作曲家で、前作に引き続きシリーズの作曲を手がけている。前作でみられた剽軽で表現力豊かなサウンドは本作でも健在で、妖しげなものから穏やかなものまで、各ステージの雰囲気に寄り添った楽曲が数多く収録されている。前作にあった音楽が状況に応じてインタラクティブに変化する仕組みに関しても順当に踏襲していて、内と外、地上と水中など、同じステージでも場所によってアレンジが異なったり曲調が大きく変化したりする。サウンドトラックについては一時期Kirkhope氏のBandcampで配信されていたが、未収録曲が多いうえに現在では入手不可となっている。そのため、ここでは曲名は便宜上の仮称とする。
ホットアイスやまのアイスサイドで流れるのがこの曲である。英名Hailfire Peaksでも知られるステージで、名前から窺える通りホット(火山)とアイス(雪山)でがらりと様相が変わる。ホットサイドはラッパの低音を活かした分厚く力強い曲調を特徴とするが、アイスサイドは同じ旋律をなぞるのでも木琴や鉄琴、吹雪の効果音を活かして寒々とした空気感を漂わせている。11~12秒、20~21秒などで滑るようにして音階を上る点が印象的で、曲全体のムードには侘しげなところもあるが個々の音色は意外と能天気な響きを帯びている。はじめは木琴がメインだが、25秒から鉄琴を加えてひんやりとした印象を強めたり、49秒からストリングスの賑やかな音色を用いたりして手を変え品を変えながら盛り上げていく。その間ずっと吹雪が止むことなく、かといってメロディーを邪魔することなく鳴り続けていて、曲を構成する一要素としてちょうど良い具合に融け込んでいる。1分27秒以降ではさらにオルゴールと弦のピチカートを取り入れて、冷たく切なく、しかし何とも小気味良い聴き心地を生み出す。聴いていると寒さが染みるが不思議と笑顔になれるような一曲である。
メリークリスマス、ということでなんとなくクリスマスっぽさのある曲を紹介してみました。ホットサイドのほうもあわせてどうぞ。