VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1409 『モノアイガンダムズ』(河西良・堀口比呂志/SDガンダム GGENERATION モノアイガンダムズ/WSC)

www.youtube.com

機動戦士ガンダム」を原作とする、

バンダイがおくるシミュレーション・SDガンダムGGENERATIONより、

河西良・堀口比呂志作曲、モノアイガンダムズの『モノアイガンダムズ』。

モノアイガンダムズ勢の戦闘で流れます。

ガンダムのゲーム化作品のうち、スーパーデフォルメを施したSD作品群のなかのウォーシミュレーション・Gジェネシリーズのワンダースワン系列の第3弾にあたる本作。一年戦争末期、ジオン公国の新編成MS部隊長に任命されたシグ・ウェドナーは仲間の裏切りに遭い多くを失い、後にエゥーゴに参戦して復讐を胸に戦うことになる。原作の追体験をメインに扱っていた従来作とは異なり、本作は世界観や歴代キャラを借りつつオリジナル主人公が紡ぐオリジナルストーリーを描いている。主役機が珍しいモノアイ(一つ目)型である点や、参戦作品およびキャラが定番どころからGや∀など宇宙世紀以外、さらに当時放映前だったSEEDの機体まで充実している点、条件次第でエンディング分岐する点などが特徴である。機体を開発したり改造したりして準備を整え、物語に沿って出撃するなかで、ときには隣接する敵味方と交信して特殊な会話やイベントを発生させることができる。特筆すべきは戦闘中に複数の機体をひとまとまりにスタックできる点で、スタックを組めば移動や攻撃を同時におこなって効率的に立ち回ったり、いざとなれば散開して被弾を凌いだりすることが可能である。携帯機で本格的かつ独自の戦争体験を味わえる仕上がりとなっている。後にDSでリメイクされたほか、クロスレイズの早期購入特典としてPS4とスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは河西良氏と堀口比呂志氏。いずれも当時、音楽制作会社ツーファイブに所属していた作曲家である。このうち河西氏はワンダースワン系列のGジェネシリーズにはギャザービートの2作品に引き続き作曲を手がけている。堀口氏はギャサービートの2作品ではサウンドディレクターだったが、本作では河西氏と並んで音楽欄にクレジットされている。本作のオリジナル曲はワンダースワンのざらついた音源を駆使した、シリアスで力強くて、ときどき物悲しさもある味わい深いサウンドが揃っている。一部の楽曲は後のシリーズ作品でアレンジされている。サウンドトラックは未発売だが、曲名に関しては直接のリメイクにあたるDS版の例に倣うものとする。

モノアイガンダムズ勢の戦闘BGMとして流れるのがこの曲である。出だしから破裂するようなけたたましい勢いで響く打楽器が印象的で、続けて加わる荒々しくも勇ましい主旋律がますます勢いを加速させる。音色の荒さが疾走感を引き立てているかのように感じられ、曲全体を通して鋭く光るような強固な存在感を放っている。とりわけ22秒から高音に遷移すると、これまで築き上げたノリの良さに高音特有の緊張感と悲壮感が組み合わさって着実に盛り上がっていく。32秒でサビに到達すると、本来高音が持つ冷たい印象を覆して、高音を用いながらも非常に熱くほとばしるメロディーを奏でる。まさに主役の戦闘曲らしい迫力を備えつつ、同時に奥底に物哀しい響きを帯びているようにも聴こえる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。原曲音源の痺れるような荒さが良いですね。DSのリメイク音源、クロスレイズのアレンジもあわせてどうぞ。

www.youtube.com

www.youtube.com