カプコンがおくるシミュレーションRPG・天地を喰らうより、
富樫則彦作曲、GB版の『バトル1』。通常戦闘で流れます。
三国志演義を題材にした本宮ひろ志氏による「天地を喰らう」のゲーム化作品として、アーケードやファミコンに続きゲームボーイ向けにも発売された本作。ベルトスクロールアクションだったアーケードとは異なり、本作はファミコンと同じ路線のシミュレーションベースのRPGとなっている。主人公は劉備、黄巾の乱を機に義勇軍を率いて中国全土の天下統一を目指すことになり、赤壁の戦い以降は攻略の自由度が高いシミュレーションパートとして、任意の順序で各地の城を攻め落とせるようになる。名作と名高いファミコン2作と比べると知名度は落ちるが、携帯機で手軽に三国志の雰囲気を味わえる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは富樫則彦氏。90年代前後のゲーム音楽界で活躍していた作曲家である。天地を喰らうシリーズは作品ごとにそれぞれ作曲者が異なるが、それでいて一貫して音楽の評価が高いことで知られていて、シリーズ初参加となる氏が手がける本作においても例外ではない。制約が強い点では共通しているが、ファミコンとは似て非なるGB特有の音源で奏でられるメリハリ豊かなサウンドは、いずれも素朴ながらも力強いインパクトを放っている。隠しコマンドとしてサウンドテストが完備されているため、タイトル画面からいつでも好きなときに楽曲を試聴できるが、サウンドトラックは未発売である。
兵士戦以外の通常戦闘、武将戦で流れるのがこの曲である。直接対決を避けて兵士をぶつけ合って勝敗を決める兵士戦とは違い、しっかりと敵と対峙することになる戦闘の場面を彩ってくれるのが、圧倒的な気迫に満ちたこの一曲である。非常にオーソドックスな、王道ど真ん中を突っ走るようなメロディアスな旋律が印象的で、25秒を過ぎたあたりで高音の主旋律と高速のアルペジオを組み合わせると、その勇ましさとほんのり薫る切なさが、珠玉の悲愴感を生み出す。音数のすくなさと曲尺の短さを補って余りあるほど、RPGの戦闘曲としてこのうえないほど完璧に情熱的な仕上がりとなっている。
GB音源の良さを詰め込んだような一曲ですね。この曲の他にも、フィールド曲もなかなか好きです。仲間が加わる前と後で曲が切り替わるのですが、特に序盤の『ひとりたび』がイチ押しです。あわせてどうぞ。