千葉梓作曲、大復活の『"大往生"したなどと誰が決めたのか。』。
エンディングで流れます。
美しく苛烈な弾幕で彩られる怒首領蜂シリーズの5作目にあたる本作。前作から6年後、廃棄されたはずの女性型戦闘ロボット・エレメントドールのエクスイを発信源としてわずかな時空の乱れから歴史の書き換えを目論む彼女らに対抗すべく、首領蜂軍が出撃することになる。全5面構成、裏ルートあり、2周目の隠しボスありの縦スクロールシューティングで、前作までの世界観や基本システムを継承しつつ、作風やバランスなどを中心に路線変更している。立ちはだかるボスは巨大な少女型ロボットで萌えとメカ要素の主張が激しく、キャラや台詞回しの癖が如実に表れている。本作の特徴は自機の強さとカウンター性能の充実ぶりで、パワーアップの概念がない分、常時フル火力で攻められる。ゲージ満タンでハイパーカウンターモードを発動させれば敵弾を破壊できるようになるし、敵のレーザーも相性次第で自機のレーザーやオーラで相殺できる。敵の猛攻に対抗するための手段が十分に用意されているため、初見でも遊びやすい難易度だが、2周目や裏ルートに入れば相応の挑戦が待ち構える。総じて大復活の名に恥じぬ豪快な仕上がりとなっている。後にアッパーバージョンのブラックレーベルが登場したほか、アプリやXbox 360、PC、スイッチに移植された。
本作の音楽を担当するのは工藤吉三氏、千葉梓氏、並木学氏。いずれも当時、音楽制作会社ベイシスケイプに所属していた作曲家である。このうち並木氏は前作から続投で、工藤氏と千葉氏はシリーズ初参戦である。本作では爽やかで激しいテクノやトランス系の楽曲が多く、なかには破壊的なノリのあるものも含まれる。ステージの表裏によるアレンジ違いや過去作からのフレーズの引用など、随所に細かな工夫が凝らされている。サウンドトラックにはイメージソングやボイス集も含めて収録されている。
エンディングで流れるのがこの曲である。曲名は本作のキャッチコピーの一つでもあり、完結作と謳われたはずの前作(大往生)に対する言及である。長く引き伸ばされたようなシンセの音色にピアノが絡み合い、これまでの働きを労わるようなしっとりとした響きを生む。16秒からはピアノが煌びやかに高音を散りばめ、綺麗だけど感傷的でもある雰囲気を形作る。30秒から聴こえ出す女声は美しくも憂いを帯びていて、55秒から再びシンセが合流するとますますセンチメンタルでドラマチックな印象を与える。流れに乗ってどこまでも盛り上がり続けそうな勢いがあるが、1分30秒で瞬時に切り替えてうまくループに入る。大往生と大復活を経てさらにその先へ続いていくような果てしない後味がある一曲である。
ピアノの散りばめ方が素敵ですね。後半にかけて弾幕のようなとめどなさが出てくるのが良いと思います。