プラチナゲームズがおくる∞クライマックスアクション・ベヨネッタより、
原田尚文作曲、七瀬りりこ歌唱、3の『Fertile Rondo 日本語ボイス』。
バアル・ゼブルを召喚するボス戦で流れます。
蠱惑的な魔女の華麗な戦いぶりを描くベヨネッタシリーズのナンバリング3作目にあたる本作。異形の軍勢によって崩壊した人間界、それとは別次元の平和だったはずの世界にも魔の手が迫るなか、アンブラの魔女・ベヨネッタは謎の少女・ヴィオラに助けを乞われて時空も次元も超えた戦いに身を投じることになる。シリーズの特徴であるディープでドラマチックな展開と演出、スタイリッシュでサディスティックな戦闘は健在で、本作ではより探索要素が強まったほか、新アクションや新キャラが加わってバトルスタイルの幅が広がった。探索面ではこれまでの中世ヨーロッパ風のフィールドのみならず、古代中国や現代日本など多彩なロケーションが設けられ、見た目や武器、召喚できる魔獣など、その土地の特色を反映したラインナップを楽しめる。新アクションには悪魔と一体化して強力な専用技を放つデーモン・マスカレードや魔獣を直接操作できるスレイブなどがあり、今まで以上にド派手な動きが取れる。新キャラのヴィオラは日本刀使いで、刀に宿る相棒のチェシャを召喚して共闘したり、やや判定が厳しめだがジャストパリィで怒涛のチャンバラを披露したりすることができる。他にも多数の収集要素、2Dステルスアクション、リズムゲーム、怪獣バトルなど要素がてんこ盛りで、シリーズの集大成らしく濃厚な仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはイズタニタカヒロ氏、上田雅美氏、青木征洋氏、兼松衆氏、亀山友希氏、キムヒョン氏、黒川仁美氏、近藤嶺氏、鈴木克崇氏、中西青葉氏、中別府峻氏、原田尚文氏、樋口拓実氏、古川亮氏、堀田星司氏、山口裕史氏。1曲のみだが五十嵐聡氏と宮内雅央氏も携わっている。イズタニ氏はフリーランス、青木氏は自身のレーベル・ViViXを率いる作曲家、兼松氏は音楽制作会社・日音の所属、近藤氏は音楽制作会社T's MUSIC所属、鈴木氏は音楽制作会社POLION所属、上田氏は元プラチナゲームズで音楽制作会社MIYABI GAME AUDIOの代表、五十嵐氏は元プラチナゲームズで音楽事務所TOKYO LOGIC所属のクリエイターである。残りはプラチナゲームズの内製チームで、なかでも原田氏が本作のリードコンポーザーを務めている。ベヨネッタシリーズのサウンドは初代から大所帯だが本作ではほぼ20名近い構成で、特に社内中心にシリーズ初参戦ないしは本作がデビュー作にあたるメンバーもすくなくない。シャープでスリリングな音楽性はそのままに、オリエンタルなものからSFチックなもの、パンクなものからクラシカルなものまで、シーンごとに細かく作り分けられている。サウンドトラックは8枚組で250曲以上ある大ボリュームで収録されている。
チャプター12のボス戦でバアル・ゼブルを召喚する際に流れるのがこの曲である。カエルの魔獣であるバアルの真の姿であり、響震を歌う毒姫という二つ名の通り華やかなオペラ歌手のような出で立ちと美声を持つ。このボス戦は音楽ゲームの要領で進める特殊戦闘で、音声言語が日本語の場合と英語の場合で歌手が異なる。ダークでシリアスなオーケストラのイントロに続いて、30秒あたりからハープシコードやシンセ、パーカッションなどが加わって一転してダンサブルな雰囲気を帯びるようになる。43秒に麗しい歌声が入ると、以降は歌を軸として非常に艶やかでありながら憂いを湛えたメロディーを紡いでいく。1分8秒などで天に届くような高音を披露し、いかにもオペラらしいビブラートをかけるが、1分15秒以降でやたらと細かく音階を行き来するさまは音楽ゲームらしいリズム感があり、オペラとしての魅力とゲームとしての遊び心を両立している。1分50秒頃でフェーズが変わって後半戦に入ると、2分5秒から今度はすこし低めの音域から始まってじわじわと侵蝕するように歌声が響く。やがて2分20秒で渾身のハイトーンを歌い上げ、さらにもう一度溜めに溜めて2分53秒から最後の盛り上がりをみせる。歌で戦うシチュエーションにふさわしい絶大な力を感じさせる一曲である。
この一連の戦闘シーンはフィフス・エレメントというカルトSF映画を連想させるところもあり、濃く印象に残ります。Julie Nathansonさんが歌うバージョンもあわせてどうぞ。