円谷プロダクションの特撮作品・空想特撮シリーズを原作とする、
バンプレストがおくるアドベンチャーシミュレーション・ウルトラ作戦より、
平田みずほ作曲、『科特隊日本支部誕生』（仮称）。
第一話「科特隊日本支部誕生」で流れます。上記動画の4:47から7:16まで。
空想特撮シリーズの派生作品として円谷プロの監修のもとで登場した本作。新設された科学特捜隊の日本支部を任されたムラマツキャップは、隊員たちとともに相次ぐ怪獣事件に立ち向かうことになる。全6章構成でウルトラQとウルトラマンを繋ぐ物語を描いていて、ウルトラマン来訪以前の科特隊の活躍を垣間見ることができる。主に情報収集をおこなうコマンド選択式のアドベンチャーパートと、マス目上の戦闘マップでユニットを指揮して怪獣と対峙するシミュレーションパートに分かれている。ストーリーや怪獣のデザインは本作オリジナルという本格仕様で、キャラ・怪獣・背景画像などイラスト全般に実写素材を取り込んだリアル寄りなグラフィックが特徴である。ADVパート・SLGパートともにスローテンポで、コマンドが多い割にやれることが限られているなど、やや粗削りな部分もあるが、空想特撮シリーズの世界観や当時の特撮モノの雰囲気を感じ取れる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは平田みずほ氏と故・宮内國郎氏。スタッフクレジットではそれぞれ平田みづほ名義、宮内国郎名義で記されている。宮内氏はウルトラシリーズの劇伴を手がけたことで知られる作曲家である。平田氏は主にCMやアーティストへの楽曲提供を手がける作曲家で、本作ではOPを除く作中の楽曲をすべて担当しているとのことである。本作の楽曲はFM音源を駆使した重厚感のあるサウンドが揃っていて、全体的に緊迫感漂う作風をよく捉えている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
第一話「科特隊日本支部誕生」のアドベンチャーパートで流れるのがこの曲である。まるで和太鼓のように重みのある低音で始まり、じっくりと、それでいて着実に焦らすことで、静かだが威圧的な感触を生み出す。24秒ほど（上記動画の5:11）でビーッと警報音さながらのけたたましい音色で一区切りつけると、続く35秒頃（5:22）から流れが変わり、細かい間隔で絶え間なく粘り強く音を鳴らし続ける。しばらくは小刻みな打音を交えながらフレーズを反復するが、1分5秒あたり（5:50）からそれぞれ異なる響きを持つ高音パートを代わる代わる取り入れることで、依然として焦慮を誘いつつも耳心地の良い印象を与える。高音パートが終わると再び聴き覚えのある反復に戻り、ややあってまた高音パートに再突入するが、2分半手前（7:12）で変化が生じてそのまま綺麗に曲を締め括る。発足して間もない手探りな状況下での緊張感と使命感がじかに伝わってくる一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。独特な渋さというか味わい深さのある曲ですね。
