Leafがおくるアドベンチャー＋シミュレーション・うたわれるものより、
松岡純也作曲、『月光花 -フミルィル-』。夜の会話シーンなどで流れます。
アクアプラスのアダルトゲームブランド・Leafの18禁AVG+S・RPGとして登場した本作。獣のような耳と尾を持つ種族が暮らす世界を舞台に、辺境の村にて謎の仮面を被ったまま瀕死の状態で担ぎ込まれた記憶喪失の主人公・ハクオロは、やがて村に迫る戦乱の運命に抗うべく蜂起することになる。ストーリーを読み進めるアドベンチャーパートと、戦闘を繰り広げるシミュレーションパートに分かれていて、魅力あふれるキャラクターたちと丁寧かつ緻密な世界観描写が紡ぐ叙情的なシナリオが特徴である。浮世離れしつつも戦記モノらしい重厚さを持つ仕上がりとなっている。後に全年齢対象に変更してPS2やPSPに移植されたほか、HDリメイク版がPS4とPSVita向けに発売されている。
本作の音楽を担当するのは石川真也氏、松岡純也氏、米村高広氏。いずれも当時アクアプラスに在籍していたか現在もしている作曲家である。このうち松岡氏はボーカル入りの主題歌も含めて本作では大部分の作曲を手がけていて、続編でも引き続き担当している。本作の楽曲は、アイヌ文化をモチーフにしたとされるファンタジーの作風にあわせて、全体的に和風だが和だけにはとどまらぬ異国情緒を漂わせたエスニックサウンドが揃っている。サウンドトラックはオリジナルのもののほか、移植の際の新曲を追加収録したものも発売されている。
いくつかの夜の会話シーンをはじめ、主に切なく儚いイベントにおいて流れるのがこの曲である。フミルィルとは作中の言語で月光花を意味する単語であり、その柔らかく滑らかな語感に寄り添うかのごとく、この曲は夜の闇に溶け込むようなピアノの旋律が奏でられる。物憂げで物静かで、まるで喪に服すような調子でひたすらメランコリックに響き渡るメロディーラインは、胸を締め付けるような、それでいて身も心も清めてくれるような、虚しさと癒しとが見事に混ざり合った摩訶不思議な魅力に満ちている。悲しくも優しい包容力にあふれた一曲である。
この曲は個人的にはユズハのイメージが強いのですが、続編も含めていろんなところで使われていますね。
